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コロナ後遺症(Long COVID)の症状と鍼灸ケア|倦怠感・嗅覚障害・ブレインフォグを東洋医学で整える【鍼灸師監修】

「感染してから半年以上経つのに、倦怠感が取れない」「においが戻らない」「以前より集中力が続かない、頭がぼんやりする」——コロナ後遺症(Long COVID)は、感染後も症状が長期間続く状態で、世界的に多くの方が悩んでいます。

WHOはCOVID-19感染後4週間以上続く症状をPost COVID conditionと定義しており、日本でも厚生労働省が「罹患後症状」として公式に認めています。医療機関を受診しても「異常なし」と言われ、症状への対処法がないまま日常生活に支障をきたしている方が少なくありません。

本記事ではコロナ後遺症に対する鍼灸治療のアプローチを、実際の施術経験と東洋医学の視点から解説します。院長自身の家族(姉)への施術経験も含めてご紹介します。

院長の実体験:姉のコロナ後遺症に鍼灸で対応した話

2023年12月末、私の姉がコロナに感染し、味覚・嗅覚の喪失と声のかすれが約1ヶ月続きました。医師から処方された薬で少しずつ回復していましたが、感染から約1ヶ月後に「鍼灸で何かできないか」と相談がありました。

1回目の施術で嗅覚・味覚に関連するツボ(迎香・印堂・上星など)を中心に施術したところ、翌日から「においが少し戻ってきた」という変化がありました。2回目の施術後にはほぼ回復。これは特別な治療法ではなく、東洋医学の教科書に記載されている基本的なアプローチです。この経験から、コロナ後遺症への鍼灸の可能性を改めて感じました。

コロナ後遺症の主な症状タイプ

コロナ後遺症の症状は多岐にわたりますが、鍼灸でアプローチしやすい症状群に分類できます。

タイプ 主な症状 東洋医学的な見立て
エネルギー低下型 強い倦怠感・だるさ・労作後の悪化(PEM)・筋力低下 気虚・腎虚(エネルギーの枯渇)
自律神経失調型 動悸・息切れ・めまい・発汗異常・睡眠障害・体温調節の乱れ 気血のバランス乱れ・心腎不交
認知・神経型 ブレインフォグ(頭のもや)・集中力低下・記憶障害・頭痛 気滞・血瘀(脳への血流低下)
感覚障害型 嗅覚・味覚の異常(低下・消失・異臭) 肺気の乱れ・清竅の閉塞
呼吸器型 慢性的な咳・息切れ・胸の圧迫感 肺気虚・宣降機能の低下

コロナ後遺症が長引く5つの原因

① ウイルスによる自律神経へのダメージ

SARS-CoV-2は自律神経系に直接影響を与えることが報告されており、交感神経・副交感神経のバランスが崩れた状態が続きます。これが動悸・めまい・睡眠障害・体温調節異常の根本にあります。

② 慢性的な炎症と免疫の過剰反応

一部の後遺症では感染後も炎症が持続しており、免疫系の誤作動(自己免疫反応)が疲労感・関節痛・ブレインフォグの原因となっています。

③ 気(エネルギー)の枯渇〔東洋医学的観点〕

東洋医学では、コロナへの感染と闘病は大量の「気」を消耗すると考えます。特に「肺気」「腎気」が傷つくと、倦怠感・息切れ・意欲の低下が長引きます。「少し動くと一気に疲れる」「休んでも回復しない」という症状は、気の枯渇のサインです。

④ 血流・微小循環の低下

コロナウイルスは血管内皮細胞にダメージを与え、微小循環(毛細血管レベルの血流)を低下させます。これが脳・末梢神経・嗅覚神経への血流不足を招き、ブレインフォグ・しびれ・嗅覚障害の長期化につながります。

⑤ 睡眠の質の低下による回復不全

後遺症で睡眠障害を抱える方は多く、十分な睡眠が取れないため組織の修復・免疫の再建が進みません。「寝ても疲れが取れない」「途中で目が覚める」という状態が続くと、症状の慢性化に直結します。

患者さんの声:こんなコロナ後遺症が鍼灸で変わりました

ケース① 30代・会社員・感染から8ヶ月経っても倦怠感が取れないAさん

「コロナに感染してから8ヶ月が経ちます。熱は下がりましたが、毎日10〜14時間寝ても翌朝に疲れが取れず、午後になると全く動けなくなります。内科・神経内科を受診しましたが異常なし。仕事に復帰できず精神的にも追い詰められていました。」

来院時、脈は細く沈んで力がない(気虚・腎虚の典型)。腹部も力がなく冷えがありました。気海・関元(エネルギーの根本)+足三里・三陰交(気血を補う)+腎兪・脾兪(臓腑の回復)を中心に温灸を多用した施術を実施。「今日は疲れない」という感覚を積み重ねることを目標に週1回の施術を続けました。

4回の施術後「午後に動ける時間が少し増えた」と変化。3ヶ月(12回)の施術で午前中はフルで働けるようになり、6ヶ月後には完全に仕事復帰されました。

ケース② 40代・女性・嗅覚が戻らず食欲もなくなっていたBさん

「感染から5ヶ月経ちますが、においがほとんど分かりません。食事の味も薄く感じて食欲がなく、体重が4kg落ちました。耳鼻科でステロイド点鼻薬をもらいましたが効果がありませんでした。」

嗅覚・味覚障害に加えて胃腸の機能低下(食欲不振・軟便)があり、肺気虚+脾胃虚弱と判断。迎香・印堂(嗅覚神経への局所アプローチ)+上星・百会(清竅を開く)+中脘・足三里(胃腸の回復)を中心に施術。嗅覚トレーニング(4種のアロマを1日2回嗅ぐ)も併用するよう指導しました。

3回の施術後「強いにおいが少し分かるようになった」と変化。2ヶ月の施術と嗅覚トレーニングの継続で食欲も回復。4ヶ月後にはほぼ正常な嗅覚・味覚が戻りました。

ケース③ 50代・男性・ブレインフォグで仕事のミスが増えていたCさん

「感染から3ヶ月ほどですが、頭にモヤがかかったような状態が続いています。会議中に言葉が出てこない、資料の内容が頭に入らない、ミスが増えた。MRIも血液検査も異常なし。上司にも伝えにくく、ひとりで抱えていました。」

脳への血流低下と気血の停滞(気滞・血瘀)と判断。百会・四神聡(脳への血流促進)+天柱・風池(後頭部血流)+合谷・太衝(気血の流れを整える「四関穴」)を中心に施術。睡眠の質改善のため三陰交・神門も加えました。

5回の施術後「頭がすっきりする時間が増えた」と変化。2ヶ月の施術で会議への集中力が戻り、ミスも減少。「鍼灸でこんなに変わるとは思わなかった」とのご感想をいただきました。

コロナ後遺症に使われる主な経穴(ツボ)一覧

経穴名 位置 主な効果・対象症状
迎香(げいこう) 小鼻の脇 嗅覚障害・鼻づまり・鼻水に。嗅覚神経への最重要穴
印堂(いんどう) 両眉の中間 鼻・嗅覚・頭のすっきり感。ブレインフォグにも
百会(ひゃくえ) 頭頂部の中心 脳への血流促進・集中力改善・倦怠感・めまいに
気海(きかい) へその下、指2本分 全身の気を補う根本穴。コロナ後遺症の倦怠感・気虚に必須
関元(かんげん) へその下、指4本分 腎気を補い生命エネルギーを回復。慢性疲労・免疫力低下に
足三里(あしさんり) 膝の外側下、指4本分 胃腸機能回復・全身の気血を補う。倦怠感・食欲不振に
腎兪(じんゆ) 腰部、第2腰椎外側 腎機能回復・全身エネルギーの根本補充。慢性疲労の要穴
天柱・風池(てんちゅう・ふうち) 後頭部 頭部への血流改善・ブレインフォグ・頭痛・自律神経調整に

日常でできるコロナ後遺症のセルフケア

① ペーシング(活動量の管理)

コロナ後遺症、特にPEM(労作後倦怠感)がある場合は、無理をすると大きく悪化します。「少し元気になった」と感じてもすぐに頑張りすぎず、エネルギーの70〜80%以内で活動することが回復の鍵です。

② 嗅覚障害には嗅覚トレーニング

バラ・レモン・ユーカリ・クローブの4種のアロマを1日2回(朝・夜)、各20秒ずつゆっくり嗅ぐ「嗅覚トレーニング」は、嗅覚神経の再生を促す効果が報告されています(European Archives of Oto-Rhino-Laryngology)。鍼灸と組み合わせることで相乗効果が期待できます。

③ 体を温めて気血の循環を促す

気虚・血瘀タイプのコロナ後遺症には、体を冷やさないことが大切です。腹部・腰部を温める(腹巻き・カイロ)、ぬるめの入浴(38〜40度・15〜20分)で全身の血流を改善しましょう。

④ 睡眠の質を最優先に

回復には深い睡眠が不可欠です。就寝前1時間のスマートフォン使用を控える、起床時間を毎日一定にする、寝室の温度・湿度を整えることを優先してください。

恵比寿ハリステーションでのコロナ後遺症ケアの流れ

初回(60〜90分)

感染時期・現在の症状のパターン(倦怠感・嗅覚・ブレインフォグ・自律神経など)・医療機関への受診歴・日常生活への影響を丁寧にお聞きします。脈診・腹診・舌診で現在の体質(気虚・血瘀・腎虚など)を見極め、その日の施術内容をご説明してから施術に入ります。

2〜6回目(集中ケア期)

週1回のペースで施術を行います。コロナ後遺症は「2歩進んで1歩下がる」という回復パターンが多いため、焦らず変化を積み重ねることを大切にします。毎回の問診で症状の変化を確認し、施術内容を微調整します。

7回目以降(安定・メンテナンス期)

症状が安定してきたら2〜4週間に1回のメンテナンス施術に移行します。再燃・悪化の防止と体質の底上げを継続します。

よくある質問(FAQ)

Q1. コロナ後遺症に鍼灸は科学的に効果がありますか?

A. 2023〜2024年にかけてコロナ後遺症への鍼灸効果に関する研究が複数報告されています。中国・台湾・欧州での臨床試験では、倦怠感・睡眠障害・嗅覚障害・自律神経症状への改善効果が示されています。ただしエビデンスはまだ蓄積途中であり、「可能性が高い補完療法」として位置づけられています。

Q2. 病院での治療と並行して鍼灸を受けられますか?

A. 問題なく併用できます。コロナ後遺症には現時点で特効薬がなく、医療機関での経過観察と補完療法の組み合わせが現実的なアプローチです。服用中の薬がある場合は初診時にお申し出ください。

Q3. 何回くらい通えば変化を感じられますか?

A. 症状の種類・感染からの期間・体質によりますが、嗅覚障害は比較的早く(3〜5回で)変化を感じる方が多いです。倦怠感・ブレインフォグは時間がかかることが多く、3ヶ月(10〜12回)を目安に継続することをおすすめします。

Q4. 体がとても疲れやすい状態でも施術を受けられますか?

A. はい。コロナ後遺症の方の体は疲弊していることが多いため、刺激量を通常より控えめにして施術します。「施術後にかえって疲れた」という反応が出ないよう、初回は特に慎重に刺激量を調整します。横になったままで施術を受けられますので、体への負担は最小限です。

Q5. 感染から何年経っていても効果はありますか?

A. 感染からの期間が長くなるほど回復には時間がかかる傾向がありますが、2〜3年経過した後でも改善が見られるケースはあります。「もう長すぎて無理かも」とあきらめずにご相談ください。

まとめ:コロナ後遺症は「異常なし」でも改善できます

コロナ後遺症は検査で異常が出にくいため、「気のせい」「怠け」と誤解されることもありますが、確実に存在する症状です。鍼灸治療は画像・血液検査では見えない気・血・自律神経・免疫系の乱れに直接働きかけ、体の回復力を引き出すアプローチです。

院長自身の家族への施術経験もあり、コロナ後遺症への鍼灸の可能性を実感しています。「何をしても改善しない」「病院でできることがない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

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【監修】恵比寿鍼灸院ハリステーション 院長 鍼灸師
国家資格(はり師・きゅう師)取得。恵比寿にて鍼灸院を運営。コロナ後遺症・自律神経・慢性疲労を中心に施術。家族のコロナ後遺症への施術経験あり。

廣木 孝志

廣木 孝志

2022年11月、恵比寿で個室鍼灸院を開業/痛みの緩和、全身調整が得意/セルフケア提案とコンディショニングを大切にしています。

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