【症例報告】生理前のイライラと気分の落ち込みに悩んだ20代女性会社員のPMSに鍼灸で取り組んだ例
患者:Aさん(20代後半・女性・会社員)
主訴:生理前のイライラ、気分の落ち込み、頭痛、むくみ
経緯:生理が始まるまでの10日間ほど、心身の不調が強く出るようになり、職場での人間関係にも影響が出てきたため婦人科を受診。低用量ピルを提案されたが、まずは身体の状態を整える方法を試したいと当院を受診
Aさんは数年前から、生理前になると気分が不安定になることを感じていましたが、ここ半年ほどでその落ち込みが強くなり、些細なことでイライラしたり、急に涙が出てきたりすることが増えていました。頭痛や胸の張り、むくみも伴い、生理が始まると同時にこれらの症状がすっと消えるという、はっきりとした周期性がありました。仕事中にも感情の浮き沈みが激しくなる時期があることに悩み、婦人科を受診したところ、低用量ピルを勧められましたが、まずは身体の状態を整える方法を試したいと考え、当院にお越しになりました。
問診と脈診、舌診を行うと、舌の縁にやや赤みがあり、脈は普段に比べて滞った感じが見られました。東洋医学的には、肝の気の流れが滞る状態と考え、排卵期から生理前に合わせて、施術のペースを調整することにしました。三陰交、太衝、血海、肝兪などを中心に気血の巡りを整える施術を行い、合わせて胸の張りやむくみに対しては、お腹や脚への施術も加えました。
施術を重ねる中で、生理前のイライラの強さが和らぎ、涙が出るほどの落ち込みも減っていきました。むくみや胸の張りも軽くなり、生理前の期間を以前より落ち着いて過ごせるようになったとのご報告をいただいています。
月経前症候群(PMS)とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 生理開始の3〜10日前から心身に現れる不調で、生理が始まると軽快、消失するもの。 |
| 主な症状 | イライラ、気分の落ち込み、不安感、頭痛、胸の張り、むくみ、肌荒れ、過食傾向など。心の症状が強いタイプ、身体の症状が強いタイプなど個人差が大きい。 |
| 原因 | 排卵後の女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)の急激な変動が、脳内の神経伝達物質に影響を与えると考えられている。明確な原因は完全には分かっていない。 |
| 好発年齢 | 20代から30代の女性に多く見られ、ストレスの強い時期に症状が悪化しやすい。 |
| 一般的な治療 | 低用量ピルによるホルモンバランスの調整、症状に応じた漢方薬や抗不安薬、生活習慣の改善指導など。 |
東洋医学から見たPMS
東洋医学では、PMSは「肝(かん)」の気の流れと深く関わっていると考えられています。肝は気血の巡りを調整する働きを持ち、ストレスや緊張が続くとこの働きが滞る「肝気郁結(かんきうっけつ)」が起こります。肝の気が滞ると、イライラや気分の落ち込み、胸の張りといった症状が現れやすくなります。
さらに、気の滞りが長引くと血の巡りにも影響し、「気滞血瘀(きたいけつお)」という状態になることがあります。これが頭痛やむくみ、肌荒れなど、身体的な症状の背景になっていると考えています。排卵後の黄体期は、もともと身体が変化を受けやすい時期であるため、この時期に合わせて気血の巡りを整えることが、症状の緩和につながります。
当院のPMSへの治療アプローチ
① 三陰交、血海で血の巡りを整える
婦人科系の症状によく使われる代表的なツボです。血の巡りを整え、むくみや生理周期に関わる不調の緩和を目指します。
② 太衝、肝兪で気の滞りを流す
肝の気の滞りを流すことで、イライラや気分の落ち込みといった精神面の症状の緩和を図ります。
③ 黄体期に合わせた施術ペースの調整
排卵期から生理前にかけて症状が強まる方には、その時期に合わせて施術のタイミングを調整することをお勧めしています。
④ むくみ、胸の張りへの施術
お腹や脚への施術を組み合わせ、全身の巡りを整えることで、むくみや胸の張りといった身体症状にもアプローチします。
婦人科との連携について
PMSの症状が強く、日常生活や仕事に大きな支障が出ている場合は、まず婦人科を受診し、低用量ピルなどホルモンバランスを整える治療を検討することをお勧めします。鍼灸は、薬を使う前に身体の状態を整えたい方や、薬と並行して体質改善を図りたい方の選択肢として活用いただけます。
次のような場合は、婦人科や心療内科への受診をご検討ください。
- 気分の落ち込みが強く、日常生活が困難なほどの場合
- 自分を傷つけたい気持ちが出てくる場合
- 症状が生理前だけでなく、月の大半に及ぶ場合
よくあるご質問
Q. 婦人科でピルを勧められましたが、まず鍼灸を試すことはできますか?
A. 可能です。ピルに抵抗がある方や、まず身体の状態を整えてみたいという方が、鍼灸から始めるケースは多くあります。
Q. どのタイミングで通うのが効果的ですか?
A. 排卵期から生理前にかけての黄体期に合わせて通っていただくと、症状が強くなる時期に合わせたケアができます。
Q. 生理痛とPMSは違うものですか?
A. 生理痛は生理中の下腹部痛が中心ですが、PMSは生理が始まる前のイライラや気分の落ち込みなど、心身両方の不調を指します。両方を併発する方も少なくありません。
Q. どのくらいで変化を感じられますか?
A. 個人差がありますが、2〜3周期(2〜3ヶ月)継続していただくことで、変化を感じる方が多い印象です。
まとめ:PMSと鍼灸
- PMSは生理前の女性ホルモンの変動が背景にあり、心身両方に症状が現れます。
- 東洋医学では、肝気郁結や気滞血瘀のバランスの乱れとして捉えます。
- 黄体期に合わせて施術のタイミングを調整することで、効果的なケアが期待できます。
- 婦人科での治療と並行して、体質改善を目的に鍼灸を取り入れることも可能です。
「生理前のイライラや気分の落ち込みがつらい」とお悩みの方は、一度ご相談ください。
恵比寿鍼灸院ハリステーションでは、PMSの鍼灸相談を承っています。





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