症例

産後の首肩こり、腰痛、自律神経の乱れに鍼灸|抱っこ育児で悪化する不調を東洋医学でケア【鍼灸師監修】

【症例報告】産後1ヶ月、抱っこ育児による首肩こり、腰痛、自律神経の乱れに鍼灸で取り組んだ例

患者:Mさん(40代・女性・産後1ヶ月)
主訴:首肩こり、腰痛、自律神経の乱れ(夜間の不眠、胃の不調、不整脈感)
経緯:出産から1ヶ月、来年3月までの育休中。夜中の育児で睡眠不足が続き、抱っこの負担で左肩の重さを感じるようになった

Mさんは出産から一ヵ月、夜中の授乳や抱っこなど、慣れない育児で十分な睡眠が取れない日々が続き、首や肩のこり、腰の重さに加えて、自律神経の乱れも感じるようになっていました。近隣の鍼灸院に通おうとしたものの、予約がいつも埋まっていて通院が難しく、口コミの評判を見て当院を受診されました。

抱っこの時間が増えるにつれて、特に左肩に重さを感じるようになり、夜は育児で満足のいく睡眠は減り、胃の不調や脈が乱れるとのことでした。施術を開始すると、身体の重心が左側に偏っていることが確認され、大円筋、小円筋、前鋸筋、腹斜筋に強い硬さが見られました。これらの所見をMさんにも共有しながら施術を行い、合わせてセルフケアとして、白湯を飲む習慣をお勧めしました。

抱っこによる身体の使い方の癖は、育児期間中どうしても繰り返されるため、施術と並行してご自身でできるケアを少しずつ取り入れていただきながら、経過を見ています。


産後の首肩こり、腰痛、自律神経の乱れとは

項目 内容
主な原因 妊娠、出産による骨盤や姿勢の変化、抱っこや授乳による同一姿勢の繰り返し、慢性的な睡眠不足、ホルモンバランスの変化など。
代表的な症状 首肩こり、腰痛、抱っこ側に偏った肩や背中の張り、不眠、胃腸の不調、動悸やふらつきなどの自律神経症状。
好発時期 産後1〜3ヶ月ごろ。体力が回復しきっていない時期に、慣れない育児の負担が重なりやすい。
悪化しやすい要因 片側での抱っこの癖、授乳姿勢の偏り、夜間の頻回な対応による睡眠不足。
一般的な対処 産婦人科での産後健診、骨盤ベルトの使用、姿勢指導、可能な範囲での休息の確保。

東洋医学から見た産後の不調

東洋医学では、出産は気と血を大きく消耗する出来事と考えられています。出産直後から育児期にかけては、この「気血両虚(きけつりょうきょ)」の状態が続きやすく、身体を支える力そのものが落ちているところに、抱っこや授乳といった負担が重なります。

さらに、夜間の頻回な対応による断眠が続くと、「心脾両虚(しんぴりょうきょ)」という、心と消化機能の両方が弱った状態になりやすく、不眠や胃の不調、動悸として現れることがあります。Mさんのケースも、気血の不足に加えて、抱っこの偏りによる身体の使い方の癖が、首肩や腰の症状を強めていると考えました。


当院の産後の不調への治療アプローチ

① 重心の左右差へのアプローチ

抱っこの癖により、身体の重心が一方に偏っていることが多く見られます。全身のバランスを確認しながら、偏りを整えていきます。

② 大円筋、小円筋、前鋸筋へのアプローチ

抱っこで負担がかかりやすい肩甲骨周辺の筋肉です。硬さが強く出ている部位を中心に緩めていきます。

③ 腹斜筋へのアプローチ

出産後は体幹を支える筋肉の働きが低下しやすく、腰痛の一因になります。腹斜筋の硬さにも合わせてアプローチします。

④ 自律神経を整える施術

姿勢不良は頚椎に重さが加わります。首、延髄、自律神経の乱れを訴える場合は首のアプローチを意識します。不眠、胃の不調、不整脈感といった自律神経症状に対しては、心を落ち着かせるツボを組み合わせて使用します。

⑤ セルフケアの提案

育児中は通院の間隔がどうしても空きやすいため、白湯を飲む習慣など、ご自宅で続けられるケアを合わせてお伝えしています。


産婦人科との連携について

産後の不調については、まず産婦人科での産後健診を受けていただくことをお勧めします。不整脈感やめまいが強い、出血が続く、強い頭痛があるなど、産後の身体に明らかな異常を感じる場合は、すぐに医療機関を受診してください。鍼灸は、医療機関での診察と並行して、身体のバランスや自律神経の乱れを整える役割として活用いただけます。


よくあるご質問

Q. 育児で忙しく、通院の時間がなかなか取れません。

A. 産後は心身ともに負担が大きい時期です。無理のないペースで通院いただき、間が空く時期はセルフケアで補っていただく形でも構いません。

Q. 抱っこで片側だけに負担がかかるのは普通ですか?

A. 多くの方が抱き方の癖や授乳側の偏りで、片側に負担が集中しやすくなります。重心や筋肉のバランスを定期的に整えることをお勧めします。

Q. 産後の自律神経の乱れは珍しいことですか?

A. 珍しくありません。ホルモンバランスの変化と睡眠不足が重なる産後は、自律神経が乱れやすい時期です。胃の不調や動悸として現れることもあります。

Q. セルフケアとして何かできることはありますか?

A. 白湯を飲む習慣など、身体を温め、内臓の働きを助けることをお勧めしています。今回のケースでも取り入れていただきました。


まとめ:産後の不調と鍼灸

  • 産後は気血を大きく消耗する時期で、首肩こり、腰痛、自律神経の乱れが起こりやすくなります。
  • 抱っこや授乳の偏りによる身体の使い方の癖が、症状を助長することがあります。
  • 鍼灸は全身のバランス調整と自律神経へのアプローチを組み合わせて行います。
  • セルフケアを併用しながら、育児中でも続けやすいケアをご提案しています。

「産後から首肩こり、腰痛、自律神経の乱れが続いている」とお悩みの方は、一度ご相談ください。

恵比寿鍼灸院ハリステーションでは、産後の不調の鍼灸相談を承っています。

廣木 孝志

廣木 孝志

2022年11月、恵比寿で個室鍼灸院を開業/痛みの緩和、全身調整が得意/セルフケア提案とコンディショニングを大切にしています。

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