【症例報告】まぶたが上がらず、診断もつかなかった30代男性美容師の眼瞼下垂に鍼灸で取り組んだ例
患者:Sさん(30代、男性、美容師)
主訴:まぶたが下がってきて、目が開きにくい
経緯:徐々にまぶたの重さを感じるようになり、視界が狭くなってきたため眼科を受診。しかし検査では眼瞼下垂との診断はつかず、改善方法が見つからないまま悩んでいた
Sさんは美容師として立ち仕事を続ける中で、次第にまぶたが重くなり、目が開きにくいと感じるようになっていました。眼科で相談したものの、検査上は眼瞼下垂と診断されるほどの所見ではないとのことで、薬や治療の方針が定まらない状態が続いていました。改善しない場合は美容外科での手術も考えており、その前に試せることはないかと当院を受診されました。
来院時、まぶたを上げようとして額の筋肉を使う癖がついており、おでこにしわが目立つ状態でした。筋トレを習慣にしている上半身はしっかりと張りがあり、立ち仕事による下半身のこわばり、背中の張りも強く出ていました。問診と触診から、首の骨格的なバランス、特に第一頸椎(環椎)の歪みが、まぶたを開ける筋肉や周辺の神経の働きに影響している可能性があると考え、施術を行いました。
首の歪みへのアプローチに加え、翳風(えいふう)、顴髎(けんりょう)への低周波パルス、まぶた周囲への鍼を行ったところ、施術直後はボーっとした様子でしたが、着替えを終える頃には「目が開くようになった」と大変喜ばれ、後日、お礼のクチコミもいただきました。
眼瞼下垂とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 病態 | 上まぶたを持ち上げる眼瞼挙筋やその腱膜の働きが低下し、まぶたが十分に開かなくなる状態。視野が狭くなるだけでなく、まぶたを上げようと額の筋肉を使い続けることで、頭痛や肩こり、おでこのしわの原因になることもある。 |
| 主な原因 | 先天性のもの、加齢に伴う腱膜のゆるみ、コンタクトレンズの長期使用や目をこする癖、まぶたを引き上げる筋肉の使いすぎや疲労など、さまざまな要因が関係する。 |
| 代表的な症状 | まぶたが重い、目が開きにくい、視界が狭く感じる、まぶたを上げるためおでこにしわができる、肩こりや頭痛を伴うことがある。 |
| 診断の難しさ | 程度が軽い場合や、姿勢、筋肉の緊張状態が関係している場合は、検査上明確な「眼瞼下垂」と判定されないこともある。 |
| 一般的な治療 | 軽度であれば経過観察となることが多く、中等度以上では眼科や形成外科、美容外科での手術(眼瞼挙筋短縮術など)が選択肢となる。 |
東洋医学から見た眼瞼下垂
東洋医学では、まぶたを持ち上げる力は「脾(ひ)」の働きと深く関係していると考えます。脾は筋肉や皮膚を持ち上げ、引き締める働きを担っており、この機能が落ちると、まぶたが垂れやすくなったり、力が入りにくくなったりすると考えられています。
また、後頭部から首にかけての緊張は、目の周辺へ向かう血流や神経の働きに影響を与えるとされ、首肩の状態を整えることも、まぶたの機能を保つうえで重要だと考えます。立ち仕事や筋トレによる全身の緊張は、こうした首肩のこわばりを強め、間接的にまぶたの状態にも影響を及ぼしている可能性があります。
当院の眼瞼下垂への治療アプローチ
① 頸椎、特に第一頸椎(環椎)の歪みへのアプローチ
首の骨格的なバランスを整えることで、後頭部から目に向かう神経や血流の働きが改善しやすくなると考えています。Tさんのケースでも、まずこの歪みへのアプローチから施術を始めました。
② 翳風、顴髎への低周波パルス
耳の後ろにある翳風、顔のツボである顴髎に電気刺激を加えることで、顔面や眼周囲につながる神経の働きを刺激します。
③ まぶた周囲への鍼
まぶたを持ち上げる筋肉やその周辺の血流を促し、筋肉が働きやすい状態を目指します。
④ 全身のこわばりへのケア
立ち仕事による下半身のこわばりや背中の張り、筋トレによる上半身の緊張など、全身の状態を整えることも、まぶたの状態に良い影響を与えると考えています。
眼科、美容外科との連携について
まぶたの下垂を感じたら、まずは眼科を受診し、神経や筋肉の病気が隠れていないかを確認することが大切です。今回のSさんのように、検査では明確な診断がつかない場合や、軽度から中等度の場合は、手術以外の選択肢として鍼灸を試す方が増えています。すでに手術を検討している場合でも、鍼灸を試したうえで判断することができます。
次のような場合は、すぐに医療機関を受診してください。
- まぶたの下垂が急激に進行した場合
- 物が二重に見える、まぶた以外にも顔の動きに異常がある場合
- 全身の脱力やだるさを伴う場合
- 口から水が零れ落ちる、ろれつが回らない
よくあるご質問
Q. 眼科で眼瞼下垂と診断されなかったのですが、鍼灸は受けられますか?
A. 受けられます。検査で明確な診断がつかない場合でも、筋肉の使い方や血流、神経の働きが影響していることがあります。一度試してみる価値があります。
Q. 美容外科での手術を検討していますが、先に鍼灸を試す意味はありますか?
A. 手術は一度行うと元には戻せない部分もあるため、まず鍼灸で変化が出るかを確認してから判断する方は多くいらっしゃいます。鍼灸で改善しない場合も、手術を判断する材料になります。
Q. 何回くらいで変化が出ますか?
A. 個人差がありますが、1回の施術で変化を感じる方もいれば、数回かけて徐々に改善する方もいます。まずは数回試していただき、変化を確認することをお勧めします。
Q. 美容目的ではなく、見えにくさで悩んでいますが対応してもらえますか?
A. もちろん対応しています。当院では見えにくさや視野の狭さといった機能的なお悩みとして、眼瞼下垂に向き合っています。
まとめ:眼瞼下垂と鍼灸
- 眼瞼下垂は視界の狭さや見えにくさにつながる機能的な問題で、検査で診断がつかない軽度のケースもあります。
- 鍼灸は首の骨格的なバランス、神経への刺激、まぶた周囲の血流改善など、複数の角度からアプローチできます。
- 立ち仕事や筋トレによる全身のこわばりも、まぶたの状態に影響することがあります。
- 手術を検討している場合でも、まず鍼灸を試してから判断する選択肢があります。
「まぶたが上がらない」「目が開きにくい」とお悩みの方は、一度ご相談ください。
恵比寿鍼灸院ハリステーションでは、眼瞼下垂の鍼灸相談を承っています。





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