症例:会社員Mさん(仮名・30代・女性)の残尿感、頻尿
主訴:残尿感、頻尿(日中10回以上、夜間も1〜2回)、排尿時の軽い違和感
経緯:半年ほど前に急性膀胱炎を発症し、内科を受診して抗生剤治療を受けました。尿検査では異常がなくなったものの、その後も「すぐにトイレに行きたくなる」「出し切れていない感じが残る」という症状が続いていました。デスクワーク中心でトイレに行くタイミングを後回しにすることが多く、水分補給も少なめ。仕事が忙しい時期やストレスが多いタイミングで症状が悪化しやすいと感じていたため、当院にご相談くださいました。
結論、抗生物質による対処療法が早期回復しやすいです。慢性化させれいる場合は生活習慣の見直しとともに、数回の施術を加えていくことになります。
当院での所見
お腹を触診すると、下腹部、特に膀胱の周囲にこわばりがあり、冷えも感じられました。また、肩や首にも慢性的な緊張があり、ご本人は自覚していませんでしたが、全身的に交感神経が優位な状態が続いているように見受けられました。検査では炎症や細菌感染の所見がない一方で、自覚症状だけが続いているという、いわゆる「検査では異常が見つからない不調」に近い状態でした。
膀胱炎、頻尿とは
膀胱炎、頻尿の一般的な情報について、日本泌尿器科学会の解説を参考にまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な症状 | 排尿時の痛み、頻尿、尿の濁りが急性膀胱炎の代表的な症状です。特に排尿の終わりごろに痛みを感じやすいといわれています。 |
| 原因 | 多くは尿道から細菌(大腸菌など)が膀胱に侵入することで起こります。基礎疾患がない方にも多く見られます。 |
| 女性に多い理由 | 尿道が短く、肛門や腟と尿道口が近い構造のため、細菌が膀胱まで侵入しやすいといわれています。 |
| 受診の目安 | 高熱、倦怠感、背部痛を伴う場合は腎盂腎炎を併発している可能性があり、すみやかな受診が必要とされています。 |
| 一般的な治療 | 抗生剤治療によって数日以内に完治することがほとんどです。 |
東洋医学から見た膀胱炎、頻尿
東洋医学では、膀胱は「腎」と表裏の関係にあり、腎の働きが排尿のコントロールに深く関わると考えられています。腎の気(腎気)が不足すると膀胱を締める力が弱まり、頻尿や残尿感が出やすくなります(腎気不足)。
デスクワークでの座りっぱなしや下半身の冷えは「下焦の冷え」を招き、これも腎の機能を弱める要因になります(腎陽虚)。
さらに、ストレスや緊張が続くと「気滞」が起こり、特に「肝」の働きが乱れることで下腹部の気の巡りが滞り、頻尿や残尿感として表れることがあります(肝鬱気滞)。今回のケースのように、検査で炎症が確認されない時期にも症状が続く場合は、こうした体質的な要因が関わっていることが多いです。
当院の治療アプローチ
①自律神経と骨盤底の緊張を整える
膀胱のコントロールには自律神経の働きが深く関わっています。緊張状態が続くと骨盤底や下腹部の筋肉がこわばり、頻尿や残尿感が悪化しやすくなります。鍼灸で全身の緊張を緩めることで、膀胱の過敏な反応を落ち着けていきます。
②ツボへのアプローチ
中極(ちゅうきょく)、関元(かんげん)、三陰交(さんいんこう)、腎兪(じんゆ)など、腎、膀胱の働きに関わるツボを中心に施術します。
女性患者さんに対してはセンシティブな箇所になりますので要相談です。
③タイプ別の対応
腎気不足タイプ、下焦の冷えが強いタイプ、ストレスによる気滞タイプなど、頻尿、残尿感の背景にある体質を見極めて、ツボの組み合わせを調整します。
④セルフケアのご提案
お腹や腰回りを冷やさない工夫、水分の摂り方、三陰交へのお灸などのセルフケアもあわせてご提案しています。
泌尿器科との連携について
頻尿、残尿感が続く場合、まず気をつけたいのは「本当に感染症ではないか」という点です。排尿時の強い痛み、血尿、発熱、背部痛がある場合は、腎盂腎炎などの可能性もあるため、すみやかに泌尿器科、内科を受診してください。
鍼灸は細菌感染そのものを治療するものではありません。検査で感染が確認された場合は、まず医療機関での治療を優先してください。今回ご紹介したような、治療後も残る違和感や、ストレス性の頻尿に対するサポートとして鍼灸を取り入れていただくのがおすすめです。
次のような場合は、まず医療機関を受診してください。
- 排尿時に強い痛みがある
- 血尿がある
- 発熱や背部痛を伴う
- 症状が急に悪化した
よくあるご質問
Q. 膀胱炎を繰り返しています。鍼灸で予防できますか?
A. 鍼灸が細菌感染を直接防ぐわけではありませんが、自律神経のバランスや体力を整えることで、再発しやすい体質の改善をサポートできる場合があります。繰り返す方は、水分摂取やトイレを我慢しないことなど生活面の見直しと並行して取り入れるのがおすすめです。
Q. 検査では異常がないのに頻尿が続いています。これも対象になりますか?
A. はい。検査上問題がなくても、ストレスや冷え、自律神経の乱れによって頻尿、残尿感が続くケースは多くあります。東洋医学的な体質改善のアプローチが向いている症状です。
Q. 抗生剤治療中でも鍼灸を受けられますか?
A. 問題ありません。お薬との相互作用はないため、治療中でも安心して受けていただけます。ただし、急性期で症状が強い場合は、まず医療機関の治療を優先してください。
Q. 何回くらい通えば変化がありますか?
A. 体質によって異なりますが、週1回程度を数回続けていただく中で、頻尿の回数や残尿感の強さに変化を感じる方が多いです。
まとめ:膀胱炎、頻尿と鍼灸
- 急性膀胱炎は抗生剤治療で完治することがほとんどですが、治療後も残尿感や頻尿が続くケースがあります。
- 東洋医学では、腎気不足、下焦の冷え、気滞などの体質的な要因が頻尿、残尿感に関わると考えます。
- 鍼灸は感染症そのものの治療ではなく、治療後も続く違和感やストレス性の頻尿へのサポートとして取り入れていただけます。
- 排尿時の強い痛み、血尿、発熱、背部痛がある場合は、まず泌尿器科、内科を受診してください。
「検査では問題ないと言われたのに、トイレが近い」「膀胱炎が治った後も違和感が残る」という方は、一度ご相談ください。恵比寿、渋谷の鍼灸院ハリステーションでは、頻尿、残尿感の鍼灸相談を随時承っています。





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