症例

40代男性・懸垂時の肩甲骨の痛みが3週間継続|オーバーユース+生活習慣を改善した症例

【肩の痛み、オーバーユースによる筋肉の緊張を改善!】

筋トレ中の肩の痛みを放置して、どんどん悪化してしまった症例をご紹介します。

【患者様の背景】

症状:右肩甲骨、わきの下の筋肉の痛み

  • 日課の筋トレ中、懸垂時に右肩に痛みを感じ、中断
  • 仕事中に座っていると痛みが強くなる
  • 3週間ほど続く痛みに悩んでおり、鍼治療に興味を持ち当院を受診

生活習慣:

  • お酒やタバコはせず、甘いものが好き
  • 深夜3時に寝て午前9時に起きる生活リズム
  • 定期的に近所の治療院でマッサージを受けていたが、再発を繰り返す症状

【問診と検査】

肩甲骨内側の筋肉に緊張が見られ、痛みが長引いているため、体のバランスをチェック。

  • 既往歴として9年前に左膝を打撲
  • 下半身の筋肉量が少なく、特に太ももの内側の筋肉が弱いことが判明
  • 姿勢のバランスや重心の取り方を指導しました

特筆すべき点:

  • 右肩の筋肉(僧帽筋、前鋸筋、広背筋)が肥大し、姿勢の不均衡が影響していました
  • 右股関節外旋気味で、右外反母趾の兆候もあり

【1回目の施術】

初回は、鍼に慣れてもらうため1番鍼を使用し刺激を確認しながらの施術。

  • 施術内容: 右肩甲骨内縁を中心に置鍼し、パルスをかける
  • 痛みの評価(PS): 10から6~7に改善

その後、痛みの軽減を実感し、2回目の施術に進みました。


【2回目の施術】

  • 施術内容: 2番鍼を使い、肩周りを中心に単鍼、さらに首肩、棘上筋、棘下筋、肩甲骨内縁にパルス。
  • アプローチ: 側臥位でローテーターカフにアプローチし、仰向けで腕神経叢、副神経に神経パルスを行いました。
  • 痛みの評価(PS): 4~5に改善
    患者様は、右肩の違和感が減ったことに喜んでいました。

【3回目の施術】

今回は大胸筋の硬さにも注目し、ローテーターカフの筋緊張を緩和。

  • 施術内容: 肩甲骨内縁、棘下筋、大胸筋へのアプローチとストレッチ指導
  • 痛みの評価(PS): 2~3に改善

次回は患者様が気になったタイミングでの来院をおすすめしました。


【オーバーユースによる肩の痛みは早期の対処がカギ!】

このように、きっかけはトレーニング中でも、肩の痛みは筋肉の使い過ぎが原因で起こります。肩の痛みは違和感の段階で早期のアプローチで痛みを軽減し、再発を防ぐことが可能です。
当院では、あなたに合った治療を提案し、症状の改善をサポートします。

肩や筋肉の痛みにお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください!
あなたの体の状態に合わせた最適な治療を提供します。

懸垂で「肩が痛い」と「肩甲骨が痛い」は別物です|痛む場所で見分ける

ひとくちに「懸垂で肩を痛めた」といっても、痛む場所によって負担がかかっている組織はまったく違います。まずご自分がどこに当てはまるかを確認してみてください。

  • 肩の前・付け根の奥がズキッとする…肩関節そのもの(腱板やそのまわり)に負担がかかっているタイプ。腕を上げる途中の一定の角度だけ痛む場合は、いわゆるインピンジメント(骨と腱がぶつかる状態)が関係していることがあります。
  • 肩の後ろ・肩甲骨の内側が張る、重い…菱形筋や僧帽筋の中部といった、肩甲骨を引き寄せる筋肉の使いすぎ。デスクワークで前に丸まった姿勢のまま懸垂をすると、ここに集中しやすくなります。
  • 脇の下、脇の後ろが痛い・筋肉痛…広背筋や大円筋の、腕の付け根に近い部分。懸垂で最も強く働く場所なので、初心者の方や久しぶりに再開した方に多く出ます。
  • 首の付け根から肩の上が張る…引くときに肩がすくんでいるサイン。僧帽筋の上部だけで体を持ち上げてしまっています。

今回ご紹介した40代男性のケースは、2つめの「肩甲骨まわり」に当てはまる方でした。

懸垂で脇の下が痛い・筋肉痛になるのはなぜ?

懸垂は、腕の力で体を持ち上げているように見えて、実際に一番強く働いているのは背中から脇にかけての広背筋と大円筋です。この2つは脇の下を通って腕の骨につながっているため、負担が集中すると「脇の下が痛い」という感じ方になります。

いわゆる筋肉痛であれば、運動の翌日から2日後をピークに、おおよそ2〜3日で軽くなっていくのが一般的な経過です。押すと痛い、動かし始めは痛いが動いているうちに楽になる、という場合はこのタイプが多くみられます。

一方で、次のような場合は単なる筋肉痛と分けて考えたほうが安心です。

  • ピリッと鋭い痛みが走る、力が入らない
  • 3〜4日たっても痛みがまったく引かない、むしろ強くなる
  • 腕を特定の方向に動かしたときだけ痛みが出る

懸垂で僧帽筋・肩の後ろが張る人に共通する動作のクセ

肩の後ろや僧帽筋ばかりが張る方には、ぶら下がった状態から引き始めるときに肩がすくんで耳に近づいているという共通点がよくみられます。

本来は、引き始める前に肩甲骨を下に引き下げ、背中を使える位置をつくってから体を持ち上げます。この一手間が抜けると、首から肩にかけての僧帽筋の上部が代わりに働き続けることになり、トレーニングのたびに張りが蓄積していきます。

ぶら下がった姿勢で「肩を耳から遠ざける」動きだけを数回繰り返してから引き始める。これだけでも負担のかかる場所が変わります。

懸垂で肩を痛めたときの対処法|順番を間違えないこと

痛めた直後に強いストレッチやマッサージから入ってしまい、かえって長引かせてしまう方が少なくありません。当院でおすすめしている順番は次のとおりです。

  1. まず48〜72時間は「痛みが出る角度」を避ける。完全に安静にする必要はありません。痛む動きだけをやめ、日常生活は普通に動かします。
  2. 温めるか冷やすかを使い分ける。ズキズキと熱を持つような急性の痛みは冷やす、動かし始めが硬い・重だるい張りは温める、が目安です。
  3. ストレッチより先に「肩甲骨を下げる」練習。張っている筋肉を伸ばすより、働けていない筋肉を働かせるほうが落ち着きやすいケースが多くみられます。
  4. 再開は段階を踏む。斜め懸垂 → ゆっくり下りる動作だけ → 通常の懸垂、という順で戻すと、同じ場所を痛め直しにくくなります。

それでも2週間以上、同じ痛みが変わらず続いている場合は、休息だけでは戻りにくい状態になっていることがあります。今回の症例の方も、3週間続いた痛みが自己流の休息では変化しなかったケースでした。

こんな肩の痛みは、まず整形外科へ

次に当てはまる場合は、鍼灸よりも先に整形外科での検査をおすすめしています。

  • 夜、痛みで目が覚める(夜間痛)
  • 腕が自分で上がらない、力が入らない
  • 指先までしびれる
  • 痛めたときに「ブチッ」という音や感覚があった
  • 1か月以上、痛みがまったく変わらない

画像検査で大きな問題がないと確認できたうえで筋肉の緊張が残っている場合に、鍼灸がお役に立てる場面が多くあります。

廣木 孝志

廣木 孝志

2022年11月、恵比寿で個室鍼灸院を開業/痛みの緩和、全身調整が得意/セルフケア提案とコンディショニングを大切にしています。

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