症例:保育士Tさんの肩こりと腕の疲れ
今回ご紹介するのは、埼玉県の保育園でパートで働くTさん(30代・女性・保育士)の症例です。保育士は一日中子どもを抱っこしたり、しゃがんで遊んだり、お昼寝の時間は中腰で見守ったりと、体への負担が大きい姿勢が続く仕事です。
半年ほど前から頭痛をともなう肩こりがひどくなり、最近では腕の疲れや、肘から手首にかけてのだるさも出てきました。夜は肩が重くて寝つきが悪く、整形外科でレントゲンを撮ってもらいましたが、骨に異常はなく「筋肉の疲労でしょう」と言われたとのこと。埼玉の方ですが、大宮から電車一本でこれる当院にご来院されました。
当院での所見
触診では、左の背中に学生時代からの腫瘍がみられ、やや側弯気味。僧帽筋上部と肩甲挙筋に強い硬さがあり、左肩は右より高くなっていました。これは子どもを抱っこする際、いつも同じ側の腕に体重をかけるくせによるものと考えられます。前腕にも張りがあり、腕の疲れが肩のこりと連動して悪化していることがうかがえました。舌診では、舌の色がやや暗く、舌の縁に瘀点(紫色の点)が見られ、巡りの滞りを示すサインが確認できました。
仰向けで首を触ったさい、第一頚椎の横突起が飛び出ているような位置であることを共有。左首、肩、腹斜筋、でん部を緩める施術をする説明をしました。
東洋医学的に見た原因|気滞血瘀と肝鬱
筋肉の疲労+ストレス
東洋医学では、Tさんの状態を「気滞血瘀」と「肝鬱(かんうつ)」が組み合わさったものと捉えました。気滞血瘀とは、同じ姿勢を長時間続けることで気と血の巡りが滞り、筋肉に老廃物がたまって硬くこわばる状態です。
肝鬱(かんうつ)とは、ストレスなどによって体内の「気(エネルギー)」の巡りが滞り、心身にさまざまな不調を引き起こす状態が続くことで、自律神経のバランスを司る「肝」の働きが滞ることを指します。子どもの安全に常に気を配る保育士の仕事は、体への負担だけでなく、精神的な緊張も重なりやすく、この二つが組み合わさって肩こりを慢性化させていたと考えられます。
現代医学の視点でも、肩こりは長時間の不良姿勢や反復動作、ストレスなどによって筋肉が過度に緊張し、血流障害や疲労が蓄積することで起こるとされています。日本整形外科学会の肩こりに関するページでも、姿勢や同一姿勢の持続、精神的なストレスが主な原因として挙げられており、東洋医学の考え方と重なる部分が多くあります。
当院での施術内容
施術では、肩甲骨周囲の硬結に対して肩井、天宗、肩外兪へ直接アプローチし、こわばった僧帽筋と肩甲挙筋を緩めました。前腕の疲れには合谷と曲池を使い、腕全体の気血の巡りを促しました。
脇腹の筋緊張には章門と帯脈。また、気滞を解消するために太衝を使い、緊張しやすい自律神経のバランスを整えるようにしました。硬結が強い部分にはお灸も併用し、深部まで温熱を届けることで血流の改善を図りました。
初回で頭痛が良くなったご報告を頂きました。月1回のペースですが、3回目の施術の頃には、右肩の高さの差が目立たなくなり、夜の寝つきも改善してきたとのことです。年末に背中の腫瘍を摘出する手術を行うため入院。その後もメンテナンスのために月1ペースの通院を続けております。
セルフケアのご提案
Tさんには、子どもを抱っこする際に左右の腕をできるだけ交代で使うこと、背骨を動かすストレッチをお伝えしました。また、蒸しタオルなどで首の歪み部分や、僧帽筋を温めることで、血流改善とリラックス効果が期待できます。抱っこでこわばった腕には、肘回り、手首、手のひらなどを、反対の手で押すセルフケアも教えました。
まとめ
保育士のように、抱っこやしゃがむ動作を繰り返す仕事は、特定の筋肉に負担が偏りやすく、慢性的な肩こりや腕の疲れにつながりやすい職業です。レントゲンで異常がなくても、筋肉の緊張や巡りの滞りが原因で不調が続いていることは少なくありません。同じような肩こり、腕の疲れに悩んでいる方は、恵比寿、代官山エリアの鍼灸院ハリステーションにご相談ください。





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