【症例報告】病院では「異常なし」と言われ続けた──20代、女性、講師の自律神経失調症
患者:Aさん(20代、女性、ビジネス英会話講師)
主訴:めまい、動悸、息苦しさ、胃の不調、強い倦怠感が同時に出る
経緯:数年の海外生活を経て1年ほど前から帰国。都内で就職。多忙なため上記のような症状が出始め病院を受診したが、いずれも検査結果に異常が見られず、「ストレスが原因」と言われていた。学生時代、貨幣状湿疹を鍼灸治療にて緩解させた経緯から鍼灸治療を選択
Aさんは講師業でありつつ営業も行うことで、仕事へのプレッシャーが重なっていたご様子でした。忙しさに比例して体調不良が起こることで、そのうち外出そのものが減るとのこと。
当院では、冷えと自律神経のバランスの乱れがあると考え、背中を緩めてお腹を温める施術を開始。初回から「症状が減った」というご報告があり、昨年から月1の施術をすることで胃の不調の頻度も大きく減少。現在は日常生活に支障が出た場合か数カ月に1回のメンテナンスを続けています。
自律神経失調症とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 自律神経とは | 呼吸、心拍、消化、体温調節など、意識しなくても体を動かしている神経。活動時に働く「交感神経」と、休息時に働く「副交感神経」のバランスで体調が保たれている。 |
| 自律神経失調症とは | 明確な病名ではなく、検査で異常が見つからないにもかかわらず複数の不調が続く状態を指す。交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなることで、さまざまな症状が出る。 |
| 主な症状 | めまい、動悸、息苦しさ、頭痛、倦怠感、不眠、胃腸の不調、肩こり、手足の冷えやしびれ、発汗異常など、全身にわたる症状が同時に出ることが多い。 |
| 主な原因 | 過度なストレス、不規則な生活、過労、ホルモンバランスの変化、気温や気圧の変化、人間関係や仕事のプレッシャーなど。明確な単一の原因がないことも多い。 |
| 診断の難しさ | 血液検査や画像検査では異常が見つかりにくく、「気のせい」「ストレスでしょう」と片付けられてしまうことがある。本人の不調は実在しており、適切なケアが必要な状態。 |
| 一般的な治療 | 生活習慣の見直し、抗不安薬や自律神経調整薬の処方、心理療法、場合によっては心療内科や精神科での専門的なケア。 |
東洋医学から見た自律神経失調症
東洋医学には「自律神経」という概念そのものはありませんが、似た状態を「気滞(きたい)」や「肝気鬱結(かんきうっけつ)」として捉えます。ストレスや緊張が続くことで「気」の巡りが滞り、本来であれば全身にスムーズに流れるはずの気血が偏ったり、逆流したりすることで、めまいや動悸、胃腸の不調といった多彩な症状が出ると考えます。
特に「肝」は精神面と深く関わる臓器として位置づけられており、ストレスが続くと「肝」の働きが乱れ、それが「心(しん)」や「脾(ひ)」など他の臓腑にも影響を及ぼします。このため、自律神経失調症は一つの臓腑だけでなく、複数の臓腑のバランスを同時に整える必要があるとされます。
当院の自律神経失調症への治療アプローチ
① 全身の自律神経バランスを整える
主に首回りの硬さをみて集中的に施術します。百会(ひゃくえ)、内関(ないかん)、神門(しんもん)、太衝(たいしょう)など、自律神経の調整に関わるツボを中心に、交感神経と副交感神経の切り替えをスムーズにすることを目指します。施術後に「体が軽くなった」「初めて深い呼吸ができた気がする」という感想をいただくことが多いツボです。
② お腹からのアプローチ
自律神経の乱れは胃腸の状態に直結します。お腹を触診し、冷えや張りがある部分に置鍼やお灸を行うことで、内臓の働きを整えながら全身のリラックスを促します。
③ 緊張しやすい部位のケア
首、背中、仙腸関節は緊張やストレスの影響を受けやすい部位です。これらの筋緊張をゆるめることで、自律神経への刺激が落ち着き、めまいや動悸の頻度が減ることがあります。
④ 症状の出方に合わせた個別対応
自律神経失調症は症状の出方が人によって大きく異なります。初回にしっかりとお話を伺い、どの症状が一番つらいか、どんな場面で出やすいかを確認した上で、その方に合わせたツボの組み合わせを選びます。
病院との連携について
自律神経失調症のような症状がある場合、まずは内科や婦人科などで一度検査を受け、ほかの病気が隠れていないかを確認することが大切です。検査で異常が見つからない場合に、自律神経の乱れとして対応を検討するという順序が安全です。
すでに内科などで薬を処方されている方も、鍼灸を並行して受けていただけます。「薬は飲んでいるが症状が完全には取れない」「薬に加えて体からもアプローチしたい」という方が、鍼灸を選ばれるケースが多いです。
次のような場合は、すぐに医療機関を受診してください。
- 強い気分の落ち込みや、何も楽しめない状態が続いている
- 胸の痛みを伴う動悸、突然の激しい息苦しさがある
- 体重の急激な増減を伴っている
- めまいに伴って意識が飛びそうになる、実際に倒れたことがある
よくあるご質問
Q. 病院で検査をしても異常がないと言われました。鍼灸で原因がわかりますか?
A. 鍼灸は検査のように原因を特定するものではありませんが、東洋医学的な観点から体の状態を確認し、どこに不調が出ているかを見立てることができます。検査に映らない不調にアプローチできるのが鍼灸の特徴のひとつです。
Q. 症状がいろいろあって、何から相談すればいいかわかりません。
A. 一番つらい症状からお聞かせください。自律神経失調症は症状が多岐にわたることが多いため、まずは生活にどう影響しているかを伺いながら、施術の方向性を一緒に考えていきます。
Q. 抗不安薬を飲んでいますが、鍼灸と一緒に受けられますか?
A. 問題ありません。薬との相互作用はないため、服薬中でも安心して受けていただけます。自己判断で薬を中止せず、主治医の指示に従いながら鍼灸を併用してください。
Q. どのくらいの頻度で通えばいいですか?
A. 最初の1ヶ月は週1回を目安に、症状の変化を確認しながら進めます。改善が見られたら隔週、月1回とペースを落としていきます。
まとめ:自律神経失調症と鍼灸
- 自律神経失調症は検査に異常が出にくいため、原因がわからず不安が大きくなりやすい状態です。
- 鍼灸は交感神経と副交感神経のバランスを整え、めまい、動悸、倦怠感など多彩な症状にアプローチできます。
- 心療内科や内科での治療を受けている方も、薬と並行して鍼灸を取り入れることができます。
- 強い症状や急性の症状がある場合は、まず医療機関での検査を優先してください。
「病院では異常がないと言われるのに不調が続いている」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
恵比寿鍼灸院ハリステーションでは、自律神経失調症の鍼灸相談を随時承っています。





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