【症例報告】毎年春になると憂鬱に――薬を減らしながら鍼灸で花粉症をコントロールできた40代女性の例
患者:Sさん(40代、女性、会社員)
主訴:鼻水、鼻づまり、目のかゆみ(スギ、ヒノキ花粉症)
通院歴:2024/3月初診。喘息持ち、更年期、めまい、むくみで来院。花粉症は通院中に知ることになり、毎年3〜5月に症状が悪化、寒暖差により鼻がでたり詰まったりを繰り返す。
Sさんは20代から花粉症があり、毎年春の時期は市販薬が手放せない状態と、薬を飲むと眠くなり、仕事のパフォーマンスが落ちると話してくれました。また昨年から、男性の多い職場で冷房が効きすぎるため、くしゃみや鼻水が続くようになり、普段のメンテナンスに加えて、鼻炎の施術もはじめました。
当院では日常生活に支障が出た場合以外の通院は月に1回のペースをすすめています。鍼灸治療中、うつ伏せの時は鼻が辛そうでしたが、90分コースの中盤辺りから鼻水は治まってきました。こちらはあまり気にしていませんでしたが、後日Sさんから『薬を飲まない日が増えてきた』とのご報告をいただきました。
花粉のピークシーズンも薬を半分以下に減らして過ごすことができ、寒暖差による鼻炎症状も軽減しています。
以下では、花粉症、アレルギー性鼻炎に鍼灸がどのように働くのかを解説します。
花粉症、アレルギー性鼻炎とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原因、仕組み | 花粉、ダニ、ハウスダストなどのアレルゲンが鼻粘膜に付着すると、免疫細胞がIgE抗体を産生。再度アレルゲンが侵入するとヒスタミンなどの化学物質が放出され、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが起こる。 |
| 季節性(花粉症) | スギ(2〜4月)、ヒノキ(3〜5月)、イネ科(5〜7月)、ブタクサ(8〜10月)など、原因花粉の飛散時期に症状が集中する。 |
| 通年性(ダニ・ハウスダスト) | ダニの死骸やフンが主なアレルゲン。年間を通じて症状が続くが、夏〜秋に悪化しやすい。 |
| 代表的な症状 | くしゃみ、水様性鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、涙目、喉のかゆみ、倦怠感、睡眠の質の低下 |
| 日本の有病率 | スギ花粉症は人口の約40〜50%に及ぶとされ、国民病ともいわれる。 |
| 一般的な治療 | 抗ヒスタミン薬、点鼻ステロイド薬、抗ロイコトリエン薬、舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)、外科的治療(重症例) |
鍼灸は花粉症・アレルギー性鼻炎にどう効くのか
① 自律神経を整えて過剰な免疫反応を抑える
アレルギー反応は、免疫システムが「無害なもの」に過剰に反応することで起こります。東洋医学では「衛気(えき)」と呼ばれる体の防衛機能が乱れた状態として捉えます。鍼灸は自律神経(特に副交感神経)に働きかけ、過剰に活性化した免疫応答を落ち着かせると考えられています。近年の研究でも、鍼灸刺激が肥満細胞(マスト細胞)からのヒスタミン放出を抑制する可能性が示されています。
当院では内臓の働きを整えて免疫、代謝機能を向上させると説明しています。正直、衛気は説明がつかず私も分からないです。
② 鼻粘膜の血流改善、炎症軽減
花粉症のくしゃみ、鼻水は、鼻粘膜の過敏な炎症反応が原因です。鍼灸で鼻周囲のツボ(迎香、印堂、上星など)を刺激すると、鼻粘膜の血流が改善し、炎症を起こしている組織の状態が整いやすくなります。多くの患者さんが施術後すぐに「鼻が通った感覚がある」と報告されます。
③ 体質改善(根本的なアプローチ)
東洋医学では「肺(肺経)の気が不足すると鼻や皮膚のバリア機能が低下する」と考えます。
「肺」の経絡は肩の前側、腕の付け根から、肘の内側を通り指先へと進みます。肺のツボを継続的に刺激することで、内側に丸くなっていた姿勢(猫背、胃腸の圧迫)を立て直し、鍼刺激によるホルモン分泌作用によりアレルギー反応を起こしやすい体質そのものにアプローチしていきます。
薬が「症状を抑える」即効性の働きであるのに対し、鍼灸は「症状を起こしにくくする体づくり」を目指す点が特徴です。
もう一つ、免疫機能を整えるとして、腸にアプローチした鍼とお灸を行います。施術後の生活指導も、患者さんの体質に合わせた腸活メニューをすすめています。
当院の花粉症、アレルギー性鼻炎への治療アプローチ
花粉シーズン前(予防的アプローチ):1〜2月スタートが理想
花粉が飛び始める2月以前から通院を開始すると、体が花粉に反応しにくい状態を作れます。初回は週1〜2回のペースで免疫系と自律神経を整え、症状を見ながら通院回数を徐々に減らしシーズンを軽く乗り越えることを目標にします。
使用するツボの例:迎香(げいこう)、印堂(いんどう)、肩髃(けんぐう)、合谷(ごうこく)、曲池(きょくち)、足三里(あしさんり)、肺兪(はいゆ)、天柱(てんちゅう)、百労(ひゃくろう)、大椎(だいつい)など
花粉シーズン中(症状コントロール)
すでに症状が出ている場合。鼻周囲のツボ(迎香、印堂)と免疫を調整するお腹周りのツボを組み合わせます。首の後ろうなじ辺りを緩めることで、くしゃみ、鼻水、鼻づまりを軽減します。
医師の処方による抗ヒスタミン薬・点鼻薬との併用は問題ありません。薬を急に中止する必要はなく、鍼灸を続けながら自然と薬の量が減っていくことを目指します。
通年性アレルギー性鼻炎(ダニ、ハウスダスト)
通年を通じて症状が続く場合は、継続的な体質改善が重要です。月2〜4回の定期通院で、免疫の過剰反応を起こしにくい状態に整えていきます。生活習慣(睡眠、食事、腸内環境)のアドバイスも併せて行います。
果物(フルーツ)による花粉症反応
耳鼻咽喉科・アレルギー科との連携
花粉症、アレルギー性鼻炎の治療は、まず耳鼻咽喉科、アレルギー科での診断、治療を優先してください。アレルゲン検査(血液検査)でどの物質に反応しているかを確認することは、適切な対処のために重要です。
特に以下の方は早めに医師に相談することをお勧めします:
- 症状が重く日常生活・仕事に大きな支障が出ている方
- ぜんそく・アトピー性皮膚炎を合併している方
- 鼻づまりがひどく、副鼻腔炎(蓄膿症)が疑われる方
- 舌下免疫療法(根本的治療)を検討している方
当院では、医療機関での治療と並行して鍼灸治療を行うことをお勧めしています。処方薬の内容を確認した上で、安全に治療を進めます。
よくあるご質問
Q. 鍼灸で花粉症は「治る」のですか?
A. 治りません。アレルギー体質そのものを完全になくすことは難しいですが、症状を大幅に軽減、コントロールできる方は多くいらっしゃいます。薬の量を減らせた、シーズンを快適に過ごせるようになったというご報告は多くいただいています。
Q. 何回くらい通えば効果を感じますか?
A. 個人差はありますが、当院では初回、週2回ペース、月一で3回通ったあたりで変化を感じた症例があります。シーズン前から始める場合は月1〜2回の継続通院で体質を整えた方がおすすめです。
Q. 薬を飲みながら鍼灸を受けても大丈夫ですか?
A. 問題ありません。抗ヒスタミン薬、点鼻ステロイド薬、舌下免疫療法中の方も受診可能です。薬との相互作用はありませんので、自己判断で薬を中止せず、医師の指示に従いながら鍼灸を併用してください。
Q. 花粉シーズンが終わっても通う意味はありますか?
A. あります。シーズンオフに体質改善の治療を続けることで、次のシーズンの症状が軽くなりやすくなります。通年性アレルギー(ダニ、ハウスダスト)をお持ちの方は特に年間を通じた定期ケアが効果的です。
まとめ:花粉症、アレルギー性鼻炎と鍼灸
- 鍼灸は自律神経調整、鼻粘膜の炎症軽減、体質改善の3つの側面からアレルギー症状にアプローチします。
- 薬との併用が可能で、使用量を徐々に減らすことを目指せます。
- 花粉シーズン前(1〜2月)からスタートするのが最も効果的です。
- 耳鼻咽喉科、アレルギー科の診断、治療と並行して受けることを推奨しています。
「毎年薬が手放せない」「眠くなる薬が嫌で困っている」「体質から変えたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
恵比寿鍼灸院ハリステーションでは、花粉症、アレルギー性鼻炎の鍼灸相談を随時承っています。





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