症例

坐骨神経痛に鍼灸|お尻から足にかけてのしびれ・痛みを東洋医学で改善【鍼灸師監修】

【症例報告】座っていると足がしびれてくる──渋谷のIT企業に勤める40代男性の坐骨神経痛

患者:Tさん(46歳・男性・エンタメ系役員)
主訴:右のお尻から太もも裏にかけてのしびれ、長時間座ると悪化する腰痛
経緯:学生時代から腰痛があり、半年前から痛みが強くなった。整形外科でMRIを撮ったところ、腰椎4〜5番の椎間板ヘルニアが見つかり、「すぐ手術が必要ではないが様子を見るように」と言われた。

Tさんは在宅勤務が週3〜4日あり、自宅の椅子での長時間作業が続いていました。座っていると右の太もも裏からふくらはぎにかけてしびれてくる感覚があり、立ち上がった直後も数分間ぎこちなく歩くような状態でした。痛み止めを飲んでいましたが、「根本から何とかしたい」とお越しになりました。

当院では週2回の鍼灸治療を開始し、翌日「朝起きたときのこわばりが減った」というご報告がありました。その後3週間に1回、月1回の施術ペース。

1回目の施術後からデスクワーク中のしびれが出る頻度が半分ほどに。2ヶ月時点では長時間座っても痛みが出にくくなり、現在は生活に支障がでそうなときは来ていただくペースに移行しています。


坐骨神経痛とは

項目 内容
坐骨神経とは 腰椎から出て、お尻、太もも裏、ふくらはぎ、足先へと伸びる人体最大の末梢神経。長さは約1メートルにも及ぶ。
原因 椎間板ヘルニア(腰椎4〜5番、5番〜仙骨間が多い)、腰部脊柱管狭窄症、梨状筋症候群(お尻の筋肉が神経を圧迫)など。原因によって治療のアプローチが異なる。
主な症状 腰から足にかけての痛み、しびれ、だるさ。座っているとき、前かがみになるときに悪化することが多い。重症例では足の力が入りにくくなることもある。
好発する人 長時間のデスクワーカー、重いものを扱う仕事の方、40〜60代に多いが、近年は20〜30代のデスクワーカーにも増えている。
一般的な治療 消炎鎮痛薬、神経障害性疼痛薬(プレガバリンなど)、理学療法、神経ブロック注射。重症例や保存療法で改善しない場合は手術。

東洋医学から見た坐骨神経痛

東洋医学では坐骨神経痛を「腰脚痛(ようきゃくつう)」として捉え、腎の気の不足、寒湿(かんしつ)の邪気が経絡に侵入した状態、または気血の流れが停滞した「瘀血(おけつ)」として分類します。

長時間同じ姿勢で働くデスクワーカーの場合、「気滞(きたい)」といって気血の巡りが滞ることで筋肉や神経への栄養供給が低下し、痛みが慢性化しやすいと考えます。加えて冷房や冷たい床が「寒邪(かんじゃ)」として腰部の経絡を収縮させ、症状を悪化させる要因になります。


当院の坐骨神経痛への治療アプローチ

① 原因部位へのアプローチ(腰椎周囲、梨状筋)

腰椎の傍脊柱筋、仙腸関節周辺、お尻の梨状筋(坐骨神経が通過する)に鍼を打ち、筋肉の緊張を緩めます。神経を直接圧迫している筋肉や組織が緩むことで、しびれや痛みが軽減されます。

② 坐骨神経の走行に沿ったツボの使用

環跳(かんちょう)、承扶(しょうふ)、委中(いちゅう)、承山(しょうざん)、昆崙(こんろん)など、足の膀胱経と胆経上のツボを組み合わせ、神経の通り道の血流と気の流れを改善します。

③ 体を温める施術

今回がそうだったんですが、お腹の冷えが強い方、座ると症状が悪化する方には、腰部への灸(きゅう)や遠赤外線を組み合わせて温熱刺激を加えます。血流が改善することで、しびれが和らぐ方が多いです。

生活習慣の見直し、朝晩の白湯、腹巻、冷たいものを控えることをでかなり症状は軽減されました。

④ 姿勢と生活習慣へのアドバイス

症状を繰り返さないために、椅子の高さの調整、寝起きのストレッチ、腸腰筋と梨状筋のセルフケア方法をお伝えします。施術だけでなく、日常の過ごし方を変えることが再発予防に大きく影響します。


整形外科との連携について

坐骨神経痛の場合、まず整形外科でMRIなどの画像診断を受けることを強くお勧めします。ヘルニアや脊柱管狭窄症の程度によっては手術が必要なケースもあり、その見極めは画像診断なしには難しいからです。

画像診断で「保存療法の適応」と判断された場合、鍼灸は非常に有効な選択肢になります。薬との併用も問題なく、「薬を飲んでも痛みが取れきらない」「副作用が気になる」という方が鍼灸を追加するケースが多いです。

次のような症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。

  • 足の力が急に入らなくなった、つまずくようになった
  • 排尿や排便のコントロールが難しくなった(馬尾症候群の可能性)
  • 安静にしていても痛みが増している
  • 発熱を伴う腰痛

よくあるご質問

Q. ヘルニアがあっても鍼灸を受けられますか?

A. 受けられます。ヘルニアは画像上あっても症状が軽い方は多く、周囲の筋肉の緊張をほぐすことで症状が改善するケースは少なくありません。整形外科で「手術は不要」と言われた段階であれば、鍼灸を試す価値があります。

Q. しびれには鍼灸は効きますか?

A. 神経の圧迫による一時的なしびれには効果が出やすいです。ただし、長年にわたって神経が傷んでいる場合は時間がかかることもあります。しびれが出始めて間もない段階のほうが、改善のスピードは早い傾向があります。

Q. 何回くらいで変化が出ますか?

A. 週2回のペースで2〜4週間通うと、多くの方が何らかの変化を感じます。ただし症状の程度や経過した期間によって異なるため、初回に状態を確認してから見通しをお伝えします。

Q. 痛みがひどいときでも施術できますか?

A. できます。痛みが強い時期は刺激量を抑えた施術から始め、状態を見ながら調整します。無理に痛みを我慢して来院いただく必要はなく、急性期でも対応可能ですのでご相談ください。


まとめ:坐骨神経痛と鍼灸

  • 坐骨神経痛の多くは、筋肉の緊張と血行不良が神経を圧迫し続けることで症状が慢性化します。
  • 鍼灸は腰椎周囲と梨状筋の緊張を直接緩め、神経の走行に沿った気血の流れを改善します。
  • 整形外科での診断を受けた上で、保存療法として鍼灸を選ぶ方が増えています。薬との併用も問題ありません。
  • デスクワークが多い方は、施術と並行して姿勢や日常習慣の改善も重要です。

「座るとお尻や足がしびれる」「腰から足にかけての痛みがなかなか取れない」という方は、ぜひご相談ください。

恵比寿鍼灸院ハリステーションでは、坐骨神経痛の鍼灸相談を随時承っています。

廣木 孝志

廣木 孝志

2022年11月、恵比寿で個室鍼灸院を開業/痛みの緩和、全身調整が得意/セルフケア提案とコンディショニングを大切にしています。

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