長時間のフライトで日本に着き、そのまま観光で一日中歩く。足は痛いし、体はだるいのに、どこか張りつめて休まらない。海外から来日している方や、海外旅行・出張から帰ってきた方から、こうした疲れのご相談を受けることがあります。
こんな状態の方に向けた記事です
- 長時間座りっぱなしのフライトのあとから、全身が重い
- 観光でたくさん歩いて、脚がパンパンに張っている
- マッサージを受けても、足の痛みや疲れが抜けない
- 旅の前から、デスクワークの疲れがたまっていた
この記事では、旅の疲れが重なった体を当院がどうみて、どう組み立てているかをお伝えします。
旅の疲れは「張りつめた体」として出てきます
座りっぱなしのあとに、歩きっぱなし
フライト中は狭い座席でほとんど動けません。到着すると、今度は観光や移動で一日中歩きます。じっとしている時間と、動き続ける時間が極端に続くことで、脚はパンパンに張り、体全体の緊張が抜けにくくなります。
疲れているほど、刺激に敏感になる
疲れが重なった体は、とても繊細になっています。旅の疲れでいらした方の中には、普段の半分ほどの刺激でも、しっかり反応が出る方がいます。そのため当院では、こうした方には刺激を強くせず、量を抑えて進めます。
緊張が強いところは、鍼よりお灸でゆるめます
体の反応をみて、鍼は「切皮(せっぴ)」だけにすることも
緊張が強すぎる体に深く鍼をすると、かえって負担になることがあります。反応が強い方には、うつ伏せでの鍼を「切皮」=鍼先が皮膚に入るだけの、ごく浅い刺激にとどめます。
もぐさを重ねて、じんわり温める
そのぶん、お灸で体をゆるめていきます。もぐさを続けて置き、皮膚の表面を38度くらいから41度くらいまで、少しずつ温めていきます。熱すぎると感じたら、すぐにお伝えください。
脚の張りと疲れ
すねの前、太ももの裏、ふくらはぎ
歩きすぎた脚は、すねの前の筋肉(前脛骨筋)、太ももの裏(ハムストリングス)、ふくらはぎに疲れが残ります。当院ではこれらの場所にお灸をして、張りをゆるめていきます。
足の裏の「湧泉(ゆうせん)」
湧泉は、足の指を曲げたときに足の裏でくぼむところにあるツボです。歩きすぎた足の裏にお灸をします。
膝下の「足三里」と、足の甲の「太衝」
膝のお皿の下から指4本分ほど下、すねの骨の外側にある足三里(あしさんり)と、足の甲で親指と人さし指の骨が交わる手前のくぼみにある太衝(たいしょう)に、鍼を置いておきます。
東洋医学では「腰」の弱りとしてみます
疲れが腰に出るという考え方
旅の疲れでいらした方の体をみると、東洋医学でいう「腰」の弱りが出ていることがあります。東洋医学では、腰は「腎(じん)」と深く関わると考えます。腎が元気になると、腰も元気になる、という考え方です。
※東洋医学の「腎」は、臓器としての腎臓そのものを指すわけではありません。
腰と背中のツボ「腎兪」「志室」
腰の高さで背骨から指2本分ほど外側にある腎兪(じんゆ)、そのさらに外側にある志室(ししつ)は、腰と腎に関わるツボです。腎兪には鍼を、志室にはお灸をします。
食べ物でいえば「豆」
腎を養う食べ物として、当院では豆類をおすすめしています。旅先でも、豆を使った料理を一品選ぶくらいの気持ちで十分です。
手を組む姿勢と、浅い呼吸
疲れると、お腹の前で手を組みたくなる
疲れがたまると、お腹の前で手を組んだり、お腹の上に手を置いたりしたくなります。この姿勢では肩が前に入り、呼吸が浅くなります。
手を横に下ろし、手のひらを上に向ける
手を体の横に下ろすと楽になります。体がリラックスすると、自然と手のひらを上に向けたくなります。肩甲骨が下がると、お腹と胸に息がたくさん入りやすくなり、体が元気になっていきます。移動中の座席やホテルのベッドでも試せます。
横隔膜の高さにお灸をする理由
当院では、背中の横隔膜の高さにもお灸をします。横隔膜がよく動けば、体はリラックスしやすくなると考えているためです。
旅の前からの疲れも一緒にみます
デスクワークで親指を使いすぎている
旅の疲れでいらした方の中には、旅の前からタイピングや書きものの疲れを抱えている方もいます。手のひらや親指が疲れている方は、親指の使いすぎがみられます。
肩が上がり、肘が外に開く姿勢
パソコンに向かうときに肩が上がり、肘が外に開いた姿勢が続くと、こりが生まれます。座りすぎで背中が丸くなり、顔と肩が前に出ることで、首や肩もこりやすくなります。当院では首の後ろや肩の後ろもゆるめ、最後に手のひらをマッサージします。
当院の施術は全身調整です
脚が痛い、だるい、手が疲れている。訴えがひとつの場所であっても、当院では、痛む場所だけの施術は行っていません。体の向きを変えながら、全身を順に整えていきます。以下は旅の疲れでいらした方への組み立ての一例です。
仰向け
みぞおちとおへその中間にある中脘(ちゅうかん)、手首の内側の内関(ないかん)から始め、お灸をします。首の横の筋肉(胸鎖乳突筋)と、すねの前の筋肉にもお灸。足三里と太衝には鍼を置いておきます。

中脘は、みぞおちとおへそを結んだ線のまん中にあります。
うつ伏せ
鍼の反応が強い方には、切皮だけで進めます。首の後ろの天柱(てんちゅう)・風池(ふうち)、肩の後ろの肩外兪(けんがいゆ)、お尻、わき腹の帯脈(たいみゃく)、腰の腎兪。背中と腰、太ももの裏とふくらはぎにお灸をし、足の裏の湧泉と腰の志室にもお灸をします。
仕上げに仰向け
最後にもう一度仰向けになり、手のひらをマッサージして終わります。
その日の体の状態によって、使うツボも刺激の量も変わります。
旅の途中でも続けられるケア
貼るタイプの鍼をつけてお帰りいただくことも
旅の途中ですぐに次の目的地へ向かう方には、シールのように貼る小さな鍼を手首などにつけてお帰りいただくことがあります。目安は3日ほど。気にならなければ1週間つけていても大丈夫です。水に濡れるとはがれやすくなります。
温かい飲み物と水分
おうちやホテルでは、温かい飲み物をおすすめしています。温かいものを飲むとお腹がゆるみ、横隔膜もゆるんで、体がリラックスします。施術のあとは水分もしっかりとってください。
繰り返さないための視点
旅の疲れのご相談でも、当院は施術をお腹(中脘)から始めます。温かい飲み物でお腹がゆるむと横隔膜もゆるみ、体がリラックスする、という考え方とつながっています。移動続きで食事が乱れがちな旅の間こそ、お腹をゆるめることを大切にしています。
詳しくは繰り返す痛みと胃腸の関係をご覧ください。
※これは東洋医学の考え方に基づく当院の見立てであり、症状の原因を特定したものではありません。
こんなときは医療機関へ
脚
- 片方のふくらはぎだけが腫れている、赤い、押すと痛む
- 長時間のフライトのあとに、急に息苦しさや胸の痛みが出た
- 足首や足の甲が強く腫れて、体重をかけられない
全身
- 熱がある、寒気がする
- だるさが2週間以上続き、休んでも変わらない
- 手や指のしびれが広がっている、力が入らない
※これは医療機関にかかる目安であり、病名を判断するものではありません。とくに長時間のフライトのあとの片脚の腫れや息苦しさは、すぐに医療機関にかかってください。
よくあるご質問
Q. 旅行中で、1回しか来られません。それでも受けられますか?
はい。1回でも、その日の体の状態にあわせて組み立てます。旅の予定や、このあとの移動があれば教えてください。刺激の量を決める材料にします。
Q. 鍼が痛くて苦手です。
当院では、初めての方や鍼が苦手な方には、細い鍼と浅い刺激で進めます。体の反応が強い方には、鍼を切皮だけにして、お灸とマッサージを中心にすることもできます。強さのご希望は遠慮なくお伝えください。
Q. 英語で受けられますか?
英語でのご案内ページをご用意しています。English pageをご覧ください。
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