症例:フリーランスデザイナーAさん(30代・女性)の繰り返す口内炎
主訴:数か月前から口内炎が繰り返しできる。治りかけたころに別の場所に再発するサイクルが続いている。
経緯:在宅ワーク中心の生活で食事が不規則になりやすく、クーラーの効いた部屋で長時間作業していることが多いAさん。夏に入ってから疲れがとれにくくなり、口内炎が毎月できるようになったため当院にご相談いただきました。
来院時、Aさんは「口の中がいつも荒れている感じ」「食べ物がしみて食事が楽しくない」「仕事のストレスで眠りも浅い」とのお悩みも抱えていました。
当院での所見
問診と触診で、Aさんには食欲低下や軟便傾向など胃腸の弱さが見られ、首肩のこわばりや睡眠の浅さも確認できました。繰り返す口内炎の背景に、夏バテによる体力低下と自律神経の乱れ、胃腸機能の低下が重なっていると考えられました。
繰り返す口内炎は慢性疲労やストレスとの関連が強く、体全体のバランスを整えることが根本的なケアにつながります。慢性的なだるさにお悩みの方は自律神経失調症に鍼灸の記事もご参考ください。
口内炎とは
口内炎について、東京女子医科大学 歯科口腔外科は次のように説明しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 概要 | 口の中の粘膜に起こる炎症の総称。誰しもが経験する疾患だが、なかなか治らない場合や繰り返す場合は詳しい検査が必要なこともある。 |
| 主な原因 | 物理・化学的刺激、細菌・ウイルス・真菌感染、アレルギー、免疫力の低下、全身疾患など多岐にわたる。 |
| よく見られるタイプ | アフタ性(白い円形の潰瘍・最も多い)、ウイルス性、カンジダ性、カタル性など。 |
| 受診の目安 | 2週間以上治らない、直径1cm以上、繰り返す、痛みが強い場合は歯科口腔外科での受診が望ましい。 |
出典:東京女子医科大学 歯科口腔外科「口内炎・口腔粘膜疾患」
東洋医学から見た口内炎
東洋医学から見た口内炎と「舌のサイン」
東洋医学では、口内炎を体内の「熱」や「虚」の反映として捉え、いくつかのタイプに分けて考えます。その際、舌の状態(舌診)は体内のコンディションを映し出す鏡となります。
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心火上炎(しんかじょうえん) ストレスや緊張が続くと「心(しん)」に熱がこもり、その熱が上に昇って口腔粘膜に炎症を引き起こすタイプ。口内炎とともに不眠や動悸、口の乾きを伴いやすいのが特徴です。
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脾胃湿熱(ひいしつねつ) 胃腸(脾・胃)の働きが低下し、体内に余分な熱と湿(水分)が生じて口腔粘膜に影響するタイプ。食欲不振、軟便、口の中のねばつきを伴います。舌がむくんで大きくなる「胖大舌(はんだいぜつ)」や、縁にギザギザの歯型がつくのは、このタイプに多く見られる特徴です。
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陰虚火旺(いんきょかおう) 慢性的な疲労や睡眠不足で体の「陰(うるおい)」が不足し、相対的に熱が強くなって繰り返し口内炎が起こるタイプ。夜間の口の乾き、手足のほてりなどを伴うことが多いです。
Aさんの場合は、仕事のストレスと睡眠の浅さから「心火上炎」の要素があり、そこに夏バテやクーラー冷えによる胃腸の弱さ(胖大舌に現れていた「脾胃湿熱」の状態)が重なっていると考えられました。
当院の治療アプローチ
①自律神経を整える全身調整
ストレスや緊張を和らげ、自律神経のバランスを整えることで免疫機能の回復をサポートします。
②口内炎に関連するツボへの施術
合谷(ごうこく、手の甲)、内庭(ないてい、足の甲)、足三里(あしさんり、ひざ下)など、胃腸の働きを整え炎症を鎮めるツボを中心に用います。
③体質に合わせた弁証施術
心火上炎、脾胃湿熱、陰虚火旺など、Aさんのタイプに合わせてツボや施術内容を調整します。胃腸を補うツボや、熱を冷ましうるおいを補うツボを組み合わせます。
④ご自宅でできるセルフケア
足三里へのお灸、規則正しい食事と睡眠、ビタミンB群(B2、B6、B12)を意識した食事などをお伝えしています。お灸のセルフケアについてはお灸の効果とはもご参照ください。
歯科・口腔外科との連携について
鍼灸は口内炎そのものを治療するものではありません。体質的な免疫力の低下や自律神経の乱れを整えるサポートとしてご活用ください。次のような症状がある場合は、早めに歯科・口腔外科を受診してください。
- 2週間以上たっても治らない口内炎がある
- 直径1cmを超える大きな潰瘍がある
- 出血を伴う、硬いしこりのような口内炎がある
- 口内炎が複数箇所に同時に多発する
- 発熱や全身のだるさを伴う
よくあるご質問
Q. 繰り返す口内炎に鍼灸は効果がありますか?
A. 体質的な免疫力低下、胃腸の弱さ、自律神経の乱れが背景にある場合に、全身調整のアプローチが役立つことがあります。
Q. 口内炎の痛みがある状態でも施術を受けられますか?
A. はい。口の中に直接施術するわけではなく、手足や全身のツボへの鍼灸となりますので、口内炎がある状態でも受けていただけます。
Q. 何回くらい通えばいいですか?
A. 繰り返す口内炎の体質改善を目的とする場合、まず月2〜4回のペースで2〜3か月継続することをご提案しています。
Q. 食事や生活習慣の改善もアドバイスしてもらえますか?
A. はい。東洋医学の観点から食事・睡眠・ストレスケアについてもご提案しています。
まとめ:口内炎と鍼灸
- 口内炎は免疫力の低下、胃腸の弱さ、ストレスなどが複合して繰り返しやすくなる
- 東洋医学では心火上炎、脾胃湿熱、陰虚火旺などのタイプに分けてアプローチする
- 当院では体全体のバランスを整える施術と、足三里などのツボで免疫・胃腸機能をサポートする
- 2週間以上治らない、または大きな潰瘍がある場合は歯科・口腔外科への受診を優先する
夏バテで疲れが抜けない、口内炎が繰り返しできてつらいとお悩みの方は、恵比寿、渋谷の鍼灸院ハリステーションへお気軽にご相談ください。





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