首が痛くて、肩から親指にかけてしびれる。
太ももの外側までしびれて、横向きで眠れない。
移動が続いたあとは、耳鳴りまで強くなる。
飛行機や新幹線での移動が多い仕事の方から、こうしたご相談をいただきます。首・腕・脚・耳と、ばらばらの場所に出ているように見えて、座っている時間の長さという共通点があります。
しびれ・耳鳴りは、まず整形外科と耳鼻咽喉科へ
はじめにお伝えします。次のような場合は、鍼灸より先に医療機関を受診してください。
首の痛み・腕や脚のしびれ
- 腕や手に力が入りにくい、箸やボタンが扱いにくい
- しびれの範囲が広がっている、日に日に強くなっている
- 歩きにくい、足がもつれる
- 尿や便が出にくい、もれる
→ 整形外科へ。首のヘルニアなどは、画像検査で確かめてもらう必要があります。
耳鳴り・聞こえ
- 急に聞こえにくくなった、耳がふさがった感じがする
- めまいを伴う
- 片方の耳だけ、聞こえが落ちてきている
→ 耳鼻咽喉科へ。急な聞こえの低下は、早く受診するほど良いとされています。
長時間のフライトのあと
- 片方の足がむくむ、ふくらはぎが痛む
- 息苦しさや胸の痛みがある
→ すぐに医療機関へ。長時間同じ姿勢で座り続けたあとに起こることがある症状です。
※これは受診の目安であり、診断ではありません。判断は医師にゆだねてください。
当院に鍼灸でお越しいただくのは、こうした確認が済んでからです。医師の治療と並行して通われる方もいらっしゃいます。
移動の多い方に重なりやすい訴え
首の痛みから、肩・親指にしびれが出る
首の痛みが先にあって、しばらくすると片側の肩や、親指のあたりにしびれが出てくる。首を動かす向きによって、しびれが強くなったり弱くなったりする、と話される方が多くいらっしゃいます。
太ももの外側がしびれる、横向きで眠れない
腰やお尻だけでなく、太ももの外側にしびれが出ることがあります。片側を下にすると首や肩が痛み、反対を下にすると太ももが痛む。寝る向きが決まらず、眠りにくいという声も聞きます。
耳鳴りが強くなる、口を開けると音が高くなる
キーンという高い音の耳鳴りで、口を開けたときや、首を動かしたときに音が変わると感じる方がいます。移動が続いた時期に強くなる、という方もいます。
座っている時間の長さと、座り方のくせ
一日の大半が「座っている」
移動の多い仕事は、体を動かしているように見えて、実際は機内・車内・会議・デスクと、座っている時間が一日の大半を占めます。体重は変わらないのに、脚やお腹まわりの筋肉が落ちてきた、と感じる方もいらっしゃいます。
片側のお尻に体重をあずけて、同じ向きで座り続ける
長時間座っていると、多くの方が楽な側のお尻と脚に体重をのせ、体を同じ方向に向けたまま過ごしています。狭い座席では、座り直すことも限られます。
当院では、この座り方のくせが続くことで、お尻から太ももの外側、そして体を支えている首にまで負担が積み重なっていくと考えています。
首のいちばん上、耳の後ろの下あたりが硬くなる
こうした方の首を触ると、首のいちばん上の骨のまわり(耳の後ろの下あたり)が硬く、詰まったような状態になっていることが多くあります。施術の前に、この場所を一緒に触って確かめていただくこともあります。
当院の見立て:首のゆがみと、耳にかかる負担
首のゆがみが、腕・耳の症状として出てくる
首の痛み、腕のしびれ、耳鳴り。当院では、これらを別々の症状として追いかけるのではなく、座り方のくせで生じた首のゆがみが、それぞれの場所に出てきている状態とみて施術を組み立てます。
高い場所を速く移動することは、耳への負担が大きい
飛行機に乗ると、離着陸のときに耳が詰まったような感じがすることがあります。当院では、高い場所を速く移動することは、耳の奥にとって負担の大きい環境であり、そこに首のゆがみが重なることで、耳鳴りなどの症状が出やすくなると考えています。
※これは当院の見立てであり、移動や姿勢が症状の原因であると特定したものではありません。
実際にどう施術するか
その方の状態によって組み立ては変わりますが、このような訴えの方には、次の流れで進めることが多くあります。
まず仰向けで、股関節と太ももの外側から
首から始めるのではなく、股関節と太ももの外側から始めます。鍼に弱い電気を流す低周波(パルス)を使い、座り続けて固まった脚の付け根をゆるめます。
うつ伏せで、首の後ろのツボへ
- 天柱(てんちゅう) — 首の後ろ、髪の生え際の太い筋肉の外側
- 風池(ふうち) — 天柱の少し外側、頭の骨のきわのくぼみ
- 完骨(かんこつ) — 耳の後ろの出っぱった骨の、すぐ下の後ろ
- 大椎(だいつい) — 首を前に倒すと、いちばん出っぱる骨のすぐ下
肩の前と腕、腰・お尻・太もも裏
肩の前(腕の付け根の前側)と、手首の甲側にある外関(がいかん)にも低周波を使います。続けて腰・お尻・股関節をゆるめ、太ももの裏には鍼を置いておきます。
横向きで、耳のまわりは置くだけの鍼と温め
耳のまわりには、刺激を加えず置いておくだけの鍼を使い、あわせて温めます。
最後に、整体で全体を整える
仰向けに戻り、整体で首や骨盤のバランスを整えて終わります。
移動中・出張先でできること
座る向きと、体重をのせる側をときどき入れかえる
いちばん大切なのはここです。気がついたときに、体重をのせているお尻を反対側に移し、体の向きも変えてみてください。同じ向きのまま長時間過ごさないことが、首への負担を減らす第一歩です。
首の後ろと耳のまわりを温める
移動のあとは、蒸しタオルやシャワーで首の後ろから耳の後ろを温めてください。ホテルでもできます。
眠るときは、つらい側を下にしない工夫を
背中側にクッションや丸めたタオルを置くと、寝返りで痛い側に倒れ込みにくくなります。
鍼が苦手な方へ
低周波(パルス)の刺激が苦手な方には、電気を使わず、置くだけの鍼で進めることもできます。
鍼そのものに不安がある方には、1ミリに満たない浅い鍼や、手技・お灸を中心に組み立てることもできます。どこまで行うかは、必ずご相談してから決めます。
繰り返さないために
移動の多い生活は、食事の時間も内容も乱れがちです。当院では、座り続けてお腹まわりの支えが弱くなると、そのぶん首が頭を支える負担を引き受けることになり、首の不調が繰り返しやすくなると考えています。
首や腕だけでなく、お腹の状態から整えていくことが、繰り返さないための近道です。
よくあるご質問
Q. 首のヘルニアと言われていますが、鍼灸を受けられますか?
受けられます。ただし、まず整形外科で診断を受け、医師の治療を優先してください。当院では、医師の治療と並行して、首や肩まわりの負担を減らすことを目的に施術を行います。
Q. 出張の合間に1回だけでも、受ける意味はありますか?
1回でも、首や体の状態を一緒に確かめ、移動中に気をつけることをお伝えできます。そのうえで、滞在中に時間が取れるようであれば、間隔を空けずにもう一度お越しいただくことをおすすめしています。
Q. どのくらいの間隔で通えばよいですか?
生活に支障が出ているときは、間隔を空けずにお越しください。落ち着いてくるまでは3日に1度ほど、そこから週1回、隔週、月1回と間隔を空けていく、というのが当院の考え方です。回数や期間は状態によって変わります。
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