【症例報告】幼少期からの偏頭痛が30代から悪化、月に20日も辛い状態が続いていた40代女性の例
患者:Hさん(40代女性)
主訴:2日に1回のペースで起こる偏頭痛(朝が最もつらい)、起床時の腰の痛み、就寝中の食いしばりによる顎まわりの不調
経緯:幼少期から偏頭痛があったが、30歳を過ぎてから悪化し、多い時期は月に20日ほど頭痛に悩まされていた。総合病院に通院しながら予防的な注射と内服薬、発作時にはトリプタン系の薬を使用。半年ほど前に転倒をきっかけに足首を痛め、それ以降腰や首にも痛みが出るようになり、整形外科でリハビリも並行して受けている
Hさんは、長年付き合ってきた偏頭痛と、転倒をきっかけに出てきた腰や首の痛みを同時に抱えての来院でした。朝起きた瞬間から頭と腰が重く、夜は食いしばりで顎まわりがこわばる状態が続いていたとのことです。すでに病院で予防薬や注射による治療を受けていましたが、「薬だけでなく、体そのものの状態を変えたい」というご希望で、鍼灸を試してみることになりました。
初回は首の可動域が狭く、下を向く動作がつらい状態でした。舌の色や脈の状態を確認すると、お腹の冷えと気血の滞りが見られたため、お腹を中心に置鍼とお灸を行い、足三里、太衝も使用。後頭部の筋肉や肩甲骨周りの緊張をゆるめ、腰は様子を見ながら刺激を抑えた施術から始めました。
2回目以降は、首肩のこわばりに加えて、転倒の影響で出ていたお尻から脚にかけての症状に電気刺激を組み合わせ、食いしばりに関係する顎や側頭部の筋肉にもアプローチしていきました。骨盤の歪みについては、徒手による整体も取り入れています。
通院と並行して、冷たい食べ物や飲み物を控えること、就寝時間を整えること、起床時の腰の負担を減らすための体操なども提案しました。2ヶ月半ほど経過したころには、頭痛薬を使う頻度が減り、起床時の腰の重さも軽くなったというご報告がありました。現在も体調を確認しながら、定期的に通院を続けていただいています。
頭痛、片頭痛とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 頭痛の種類 | 緊張型頭痛(首や肩の筋緊張による締めつけるような痛み)、片頭痛(血管の拍動に伴うズキズキとした痛み、片側性が多い)、群発頭痛(目の奥に出る激しい痛み)の3つが代表的。複数のタイプが混在する人も多い。 |
| 片頭痛の特徴 | 日本人の約8%が片頭痛を持つとされ、女性は男性の3〜4倍多い。光や音、においに過敏になる、吐き気を伴う、前兆として目がチカチカする「閃輝暗点」が出ることがある。 |
| 主な誘因 | ストレス、寝不足や寝過ぎ、女性ホルモンの変動(月経周期)、気圧の変化、冷え、食いしばりや歯の咬み合わせ、長時間のPC、スマートフォン作業による眼精疲労と首肩のこり。 |
| 慢性化したときの注意点 | 頭痛が長く続くと、首肩のこりや腰の痛みなど別の症状を併発しやすくなる。けがや事故をきっかけに体のバランスが崩れ、頭痛が悪化するケースもある。 |
| 一般的な治療 | 急性期治療薬(トリプタン系、鎮痛薬)、予防薬の内服や注射、頭痛外来での生活指導。症状が重い場合は専門の医療機関で継続的な管理が行われる。 |
東洋医学から見た頭痛、片頭痛
東洋医学では頭痛を「頭痛(とうつう)」とし、原因によって「肝」「脾」「腎」など関わる臓腑が異なると考えます。長年にわたって繰り返す頭痛は、ストレスによる「肝気鬱結(かんきうっけつ)」や、お腹の冷えからくる「気血の滞り」が関係していることが多くあります。
また片頭痛のように発作的に繰り返すタイプは、「肝陽上亢(かんようじょうこう)」といって、疲労やストレスによって体の上部に気が偏りすぎている状態として捉えることがあります。けがや事故の後に体のバランスが崩れて頭痛が悪化する場合は、全身の気血の巡りそのものを立て直すアプローチが必要になります。
当院の頭痛、片頭痛への治療アプローチ
① 首肩、後頭部への直接的なアプローチ
後頭部から首、肩にかけての筋緊張は、頭痛の悪化要因になります。後頭下筋群や肩甲骨周りの緊張を、置鍼やお灸でゆるめていきます。状態によっては低周波の電気刺激も組み合わせます。
② お腹の冷えへのアプローチ
舌診や脈診でお腹の冷えが見られる方には、お腹を中心に置鍼とお灸を行います。内臓の状態が整うことで、頭痛だけでなく全身の巡りが良くなる方が多くいらっしゃいます。
③ 食いしばりに関係する顎、側頭部のケア
就寝中の食いしばりは、頭痛や顎の不調の引き金になります。顎関節周辺や側頭筋の緊張を緩めることで、朝起きたときの頭の重さが軽減する方がいます。
④ 腰やお尻から脚にかけてのケア
けがや事故をきっかけに腰や下肢に痛みが出ている場合は、状態を見ながら刺激量を調整し、必要に応じて電気刺激や徒手による整体を組み合わせます。骨盤のバランスを整えることで、頭痛と腰の痛みが連動して軽くなるケースもあります。
⑤ 生活習慣へのアドバイス
冷たい食べ物、飲み物を控えること、就寝時間を整えること、起床時の負担を減らす体操など、日常生活の中でできることもあわせてお伝えします。施術と生活習慣の両方からアプローチすることで、改善のスピードが上がります。
頭痛外来、整形外科との連携について
頭痛は脳の重大な病気のサインであることもあるため、まず一度は頭痛外来や脳神経内科で診断を受けることを強くお勧めします。すでに予防薬や注射による治療を受けている方も多くいらっしゃいますが、鍼灸はそうした治療と並行して受けていただけます。
けがや事故の影響で腰や首に痛みが出ている場合は、整形外科での診断、リハビリと並行して鍼灸を取り入れる方も増えています。医療機関での治療内容を確認した上で、無理のない範囲で施術を行います。
次のような頭痛がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
- 今までに経験したことのない激しい頭痛が突然起こった
- 頭痛に加えて手足のしびれ、ろれつが回らないなどの症状がある
- 発熱や首の硬直を伴う頭痛
- 頭をぶつけた後に頭痛が出てきた
よくあるご質問
Q. 頭痛の予防薬や注射を受けていますが、鍼灸と一緒に受けられますか?
A. 問題ありません。予防薬や注射による治療を受けている方も多く来院されています。医療機関での治療内容を確認した上で、無理のない施術を行いますので、自己判断で薬や通院を中止せずにご相談ください。
Q. 片頭痛の発作中でも施術を受けられますか?
A. 発作のピーク時は安静が一番ですが、前兆を感じた段階や発作の合間であれば施術が可能です。発作の頻度を減らすことを目的にする場合は、発作が落ち着いているときに通っていただくのが基本です。
Q. 頭痛とは別の場所(腰や顎など)の症状も一緒に診てもらえますか?
A. はい、対応しています。頭痛と腰や顎の不調が同時にある場合、体のバランス全体を見ながら施術することで、それぞれの症状が連動して改善するケースも多くあります。
Q. どのくらいの頻度で通えばいいですか?
A. 最初の1〜2ヶ月は週1回程度を目安に、頭痛や体の状態の変化を確認します。改善が見られたら、隔週、月1回とペースを落としていきます。
まとめ:頭痛、片頭痛と鍼灸
- 長年続く頭痛は、首肩のこり、お腹の冷え、食いしばり、けがや事故の影響など、複数の要因が重なっていることがあります。
- 鍼灸は首肩や後頭部、お腹、顎、腰など、頭痛に関係する体の状態を総合的に整えるアプローチができます。
- すでに病院で予防薬や注射による治療を受けている方も、鍼灸を並行して取り入れることができます。
- 今までと違う激しい頭痛がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
「長年頭痛と付き合っているが、薬だけでは限界を感じている」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
恵比寿鍼灸院ハリステーションでは、頭痛、片頭痛の鍼灸相談を随時承っています。




コメント