「金曜の夜、背中がピキッとなって」——定期的にご来院されている40代女性のお悩み。原因を伺うと、趣味(書籍の引用、研究)に何時間も熱中していたとのこと。仕事ではありません。趣味です。
ご来院時の状態
- 40代・女性・会社員(デスクワーク中心)
- 金曜の夜に背中がピキッと痛んだ。いったん落ち着いたが、2日後に再発して来院
- 腰にもつらさがあり、下肢全体が硬くなっていた
- きっかけは、休日に長時間、同じ姿勢で趣味に没頭したこと
「熱中しているとき」がいちばん危ない
仕事のデスクワークなら、会議や来客で否応なく立ちます。ところが好きなことをしているときは、体からの合図を無視できてしまう。
肩が上がっていても、呼吸が浅くなっていても、気づかない。楽しいので疲れも感じにくい。そして立ち上がった瞬間、あるいは翌日に、痛みとして表に出ます。
この方が興味深かったのは、数か月後、まったく別の趣味で同じことを繰り返したことです。今度は長時間の調べ物と書きもので過集中になり、腰が反る姿勢が続いて不調が出ました。「椅子に座ると、足をどこかに乗せたくなる」ともおっしゃっていました。
内容が違っても、体の壊れ方は同じでした。長時間・同じ姿勢・熱中して気づかない。この3つが揃うと、背中と腰に出ます。
東洋医学的な見立て
触診では、首の付け根から肩甲骨の内側にかけて硬さが強く、背骨の際(きわ)が全体に張っていました。下肢も硬く、上半身だけの問題ではないことが分かります。ツボとしては華佗穴(かだけつ)、背骨の左右際にあるツボで死者を生き返らせるとも記されているそうです。
同じ姿勢が続くと、血流が滞って筋肉が養われにくくなります。とくに背中は呼吸に関わる場所で、前かがみが続くと呼吸が浅くなり、それがさらに背中の緊張を強めるという循環に入ります。
「椅子に座ると足を乗せたくなる」というのも、骨盤が後ろに倒れて腰で支えている状態を、体が無意識に逃がそうとしているサインと考えました。又、お尻やふとももの裏にある坐骨神経の圧迫を回避する動作とも思えます。
西洋医学的には背骨の硬くなった部分を観察します。首(頚椎7)から背中(胸椎12)、背中から腰(腰椎5)、腰から仙骨(仙椎5)に分けると、背中は『交感神経のゾーン(胸椎1~12、腰痛1~2)』になります。首と腰が動かなくなり、背中に負担がのしかかったとき『ビキ!』とギックリ背中になるケースが見られます。
予防として、首と、腰回りの柔軟性を取り戻しましょう!
施術内容
風池(首の付け根)、大椎、背骨の際に沿ってしっかり響かせる施術を行い、お灸も多めに使いました。腰と臀部、下肢の硬さも鍼とパルスで緩めています。
仰向けでは、目の疲れと関係する側頭部や、お腹(中脘)、足のツボ(陽陵泉・太衝)も使いました。背中だけを診ても、また同じ場所に戻ると考えたためです。背中や腰の症状に関して、お腹の施術は必須です!
2回目の来院時には、腰が反る姿勢が続いていたため、骨盤まわりの調整を中心に組み立てました。大腿筋膜張筋の股関節部分『居髎(きょりょう)』は、骨盤の横側、太ももの付け根の骨の出っ張り(大転子)と腰骨の間にあるくぼみに位置する経穴です。
経過
急な痛みは施術後に落ち着き、その後は定期メンテナンスの中で背中の状態を見ています。「またやってしまった」という日もありますが、以前より戻りが早くなったと話されています。
この方には、施術と並行して散歩をおすすめしました。特別な運動ではなく、歩くこと。同じ姿勢が続く生活では、体を「ほどく時間」を意識的に作るほうが結果的に早いためです。
同じ悩みのある方へ
熱中する時間を減らす必要はありません。好きなことは、やめないほうがいいと思っています。そのうえで、次の3つだけ試してみてください。
- タイマーを60分でかける:意志で気づくのは無理です。外から知らせてもらう。鳴ったら立って、肩を回すだけでかまいません
- 座り直すより、立ち上がる:姿勢を直しても、同じ場所に負担が戻ります。10秒でも立つほうが効きます
- 終わったあとに歩く:熱中したあとほど、体はこわばっています。5分の散歩が、翌日の背中を変えます
なお、背中の痛みに、息苦しさ・冷や汗・胸の圧迫感を伴う場合や、安静にしていても強く痛む場合は、すぐに医療機関を受診してください。内臓の病気が背中の痛みとして出ることがあります。
恵比寿鍼灸院ハリステーションでは、完全個室でお一人ずつ施術しています。急な痛みも、繰り返す張りも、体全体のバランスから整えていきます。ご予約・ご相談はLINEまたはWEBから承っております。




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