患者さま:90代・男性(初回来院時91歳)
初回来院時(2022年秋)
脊柱管狭窄症で歩けなくなった時期があり、来院時は腰が曲がって下を向いて歩く状態。「曲がった腰をなんとかしたい」「知らない場所では杖が手放せない」というご相談でした。スマートフォンの使いすぎによる首の違和感もありました。
施術の方針
90代の方の場合、「完治」を追いかけるより「今できることを保ち、少しずつ広げる」ことを目標にします。初回に鍼への反応を慎重に確かめたところ刺激が合わない感触だったため、当初は指圧・マッサージ中心でスタート。体が慣れてきた段階で、低周波パルス鍼や置鍼を少しずつ取り入れていきました。
あわせて、ご自宅でのセルフケアを毎回指導しています——太極拳由来の腕振り運動「スワイショウ」、足の指のグーパー体操、壁を使った腕の上げ下げ、歩き方と杖の使い方。院での施術は月2回、セルフケアは毎日。この二本立てが基本です。
4年間の経過から
- 月2回のペースを4年間継続(通算90回以上)
- 手を後ろに組んでバランスを取る癖が減り、写真でも腰が伸びてきた
- 杖をお勧めした日、ご本人は杖を使わずに帰宅でき、うれしくて当院にお電話をくださったことも
- 94歳のとき、体組成計の体内年齢表示は「78歳」
- 趣味の観劇への外出を今も続けている
- 膝の痛み・肩の夜間痛・耳鳴りなど、年齢に伴う不調にもその都度対応(深夜に痛んだ肩は数回の施術で楽になったとのこと)
- 皮膚に発疹が出た際は施術を控え、皮膚科の受診をご案内(医療機関との役割分担を大切にしています)
考え方——「治す」より「歩き続ける」
狭窄症そのものを鍼灸で治すことはできません。当院の役割は、痛みやこわばりを和らげ、筋力と姿勢を保ち、「歩ける・出かけられる」状態を維持することです。90代でも、月2回の施術と毎日の小さなセルフケアの積み重ねで、生活の範囲を守ることができる——この方の4年間がそれを教えてくれます。
同じ悩みの方・ご家族の方へ
脊柱管狭窄症は、整形外科での診断・治療が前提です。そのうえで「手術は選ばない」「年齢的に強い運動が難しい」という段階では、維持を目的としたケアが選択肢になります。高齢のご家族の歩行や姿勢が心配な方は、ご本人とご一緒にご相談ください。
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