「腰が痛いのに、腰を揉まれると余計につらくなる」——こうしたご相談は、決して珍しくありません。マッサージに通っても、その場は軽くなるのに翌日にはぶり返す。強く押してもらうほど、あとで重だるさが増す。そんな経験のある方に向けて、なぜそうなるのかと、当院がどう考えているかをお伝えします。
なぜ「腰を揉む」と悪化することがあるのか
痛みが出ている筋肉が、必ずしも「ゆるめるべき筋肉」とは限りません。腰まわりの筋肉が硬くなっているとき、それは体を支えるためにあえて固めている場合があります。支えの役割を担っている筋肉を先にゆるめてしまうと、支えを失った腰に負担が集中し、かえって痛みが強く出ることがあります。順番の問題です。
腰は「被害者」であることが多い
痛む場所と、原因のある場所は違うことがよくあります。背中・お尻・太もも裏の突っ張りが強いと、腰は上下から引っ張られ続けます。この状態では腰だけをゆるめても、引っ張る力が残っている限り元に戻ります。当院では、背中・お尻・太ももの緊張から順にアプローチし、腰への引っ張りを減らしていく方法をとることがあります。
背景に「古いケガ」が隠れていることがあります
膝や股関節を過去に痛めた方、手術を受けた方では、関節が最後まで伸びきらない状態が残ることがあります。すると立つ・歩くたびに、その分を骨盤や腰が肩代わりし続けることになります。ケガをしたのは何年も前でも、腰の負担は現在進行形で続いている、というケースがあります。
また、こうした方はうつ伏せの姿勢そのものが負担になることがあります。膝が伸びきらない状態でうつ伏せになると、太もも前面が突っ張り、腰の反りが強まるためです。施術中に姿勢を変えるだけで楽になることも少なくありません。
東洋医学から見た「動かない腰」
東洋医学では、痛みの背景に気血の滞りをみます。同じ姿勢が続いたり、古傷をかばう動きが癖になると、下肢から腰・背中へつながる筋肉のライン(経筋)に滞りが生じ、突っ張りとして現れます。腰だけでなく、脚から背中までを一続きのものとして診るのはこのためです。
当院のアプローチ
- 問診で、過去のケガや手術歴、スポーツ歴までさかのぼって確認します
- 腰そのものより先に、背中・お尻・太ももの緊張をゆるめます
- 痛みが出やすい方には、うつ伏せにこだわらず、横向きなど負担の少ない姿勢で施術します
- 関節の可動域を確認し、動きの制限が残っている部位へアプローチします
自宅でできること
- 長時間座ったら、30〜45分に一度は立ち上がる
- 太もも裏とお尻をゆっくり伸ばす(反動をつけず、痛気持ちいい範囲で20〜30秒)
- 腰を強く揉んだり、体重をかけて押したりしない
- 痛みが強い時期は、腰を反らせる動きを避ける
こんな場合は医療機関へ
足に力が入らない・つまずく、排尿や排便の異常、じっとしていても痛む、夜間の痛みや発熱を伴う——これらがある場合は、鍼灸より先に整形外科の受診をおすすめします。
よくあるご質問
Q. 揉まれると痛いのに、鍼は大丈夫ですか?
圧をかけずに深部へ届かせられるのが鍼の特徴です。刺激量は体の反応を見ながら調整しますので、揉まれると痛いという方でも受けていただけます。
Q. 何回くらいで変化が出ますか?
突っ張りが主体のものは3〜5回で変化を感じる方が多く、古いケガが背景にある場合は数ヶ月かけて整えていくことが多いです。
Q. マッサージには行かないほうがいいですか?
やめる必要はありません。ただし腰を強く押されて悪化する自覚があるなら、その旨を施術者にお伝えください。
まとめ
腰を揉んで悪化するのは、体が間違っているのではなく、アプローチの順番と場所が合っていないことが多いものです。腰以外に原因が隠れていないか、一度さかのぼって確認してみてください。




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