今回は鍼灸治療ですぐには変わらなかった症例です。時折、「(鍼灸を受けて)1回で楽になった」という話を聞くことがりますが、私の患者さんの場合は、多くの方が継続的に通ってもらっています。
時間がかかっている方が「自分は違うのかもしれない」と感じてしまうことがあります。この方は、落ち着くまでに約4か月かかりました。
ご来院時の状態(初冬)
- 40代・女性(首肩こりと頭痛のケアで、定期的に通われていた方)
- ある時期から左膝の内側と、膝のお皿の下あたりが痛むようになった
- 座っているときは楽。立って体重をかけると痛む
- 膝の裏側にも張りを感じる
- ぶつけた・ひねったといった、はっきりしたきっかけはない
膝の痛みは原因の幅が広い症状です。腫れがひどい、水が溜まる、階段の上り下りが極端につらい、膝が伸びきらないといった場合は、整形外科でレントゲンなどの検査を受けてください。
変形性の関節炎や、半月板・靭帯の問題が隠れていることがあります。この方にも医療機関での確認をおすすめしたうえで、並行して施術しています。
東洋医学的な見立て
触診では膝の内側から下腿にかけて硬さがあり、お腹の冷えも一貫してみられました。膝だけの問題ではなく、下半身全体のめぐりが落ちている状態と考えました。
東洋医学では、膝は体を支える力と深く関わる場所とみます。使いすぎだけでなく、体を養う力が落ちているときにも痛みとして出やすい。とくに「立つと痛い・座ると楽」という訴えは、体重を支える働きが弱っているサインとして受け取りました。
西洋医学的には、股関節と足首の運動量があってこその膝の正常動作に繋がっています。股関節と足首の運動量が下がるとその分の負担が膝にかかる場合があるので、膝のアプローチには股関節と足首は必須です(当院では)
施術内容
膝のまわりに加えて、足三里・三陰交・太衝など、下腿から足にかけてのツボを併用しました。お腹にはお灸を使い、内側から温めることを続けています。
この方はもともと首肩と腰のケアで通われていたので、毎回の施術の中に膝を少しずつ組み込む形をとりました。膝だけを集中的に触るのではなく、全身を整えるついでに、という進め方です。
施術経過
- 1か月目:膝の施術を開始。まだ変化を感じにくい
- 2か月目:痛む位置が少し変わるが、「立つと痛い」は残る
- 3か月目:ご本人から「変わらないですね」とのお話。ここが正直いちばん難しい時期でした
- 4か月目:「膝、良好です」と話される。この回から膝の訴えがなくなる
- 5か月目以降:良い状態が続き、現在は別の部位のメンテナンスが中心
3か月目の「変わらない」という言葉を、私はよく覚えています。ここで通うのをやめる方も少なくありません。実際、この時点で私も方針を変えるべきか迷いました。
結果として続けてよかったのですが、それは膝だけを追いかけなかったからだと考えています。首肩のケアで通われていたので、膝が変わらない時期も「来る理由」が残っていた。膝単独で通われていたら、3か月目でやめておられたかもしれません。
同じ悩みのある方へ
変化を感じにくい時期は、実際にあります。とくにはっきりしたきっかけがない痛みは、時間がかかることが多いです。
- 膝そのものを揉みすぎない:痛む場所を強く押すと、かえって反応が出ることがあります
- ふくらはぎと太ももを温める:膝は上下の筋肉に引っぱられています。周りをゆるめるほうが届きます
- 足三里にお灸:膝のお皿の外側から指4本分下。膝の周辺を助けるツボとして使われてきました
- お腹を冷やさない:この方の場合、下半身の冷えと膝の状態が連動していました
そして——3か月変わらなくても、それだけで「効かない」とは限りません。ただし、痛みが強くなる、腫れる、歩き方が変わってきたといった場合は、経過を待たずに整形外科でご相談ください。
恵比寿鍼灸院ハリステーションでは、完全個室でお一人ずつ施術しています。時間のかかる不調も、定期メンテナンスの中で少しずつ整えていくことができます。ご予約・ご相談はLINEまたはWEBから承っております。




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