症例

首を動かすとポキポキ鳴る原因と鍼灸ケア|デスクワーク・出張族の首こり【鍼灸師監修】

この記事の結論

  • 首のポキポキ音の多くは関節内の気泡が弾ける音で、音だけなら心配いらないケースがほとんどです
  • ただしゴリゴリと連続して鳴る・痛みやこりを伴う場合は、慢性的な筋緊張や関節の動きの制限のサイン。しびれ・めまいを伴うときは整形外科の受診も検討してください
  • 筋緊張からくる音や首こりは、鍼灸でゆるめることで改善が期待できます(本文で恵比寿の当院の症例とセルフケアを紹介)

「首を動かすたびにポキポキ・ゴリゴリと音が鳴る」「音は鳴るが痛みはない、でも気になる」「音と一緒に首のこりや重だるさも感じる」――こうした症状でお悩みの方は非常に多くいらっしゃいます。

首の音は必ずしも病気のサインではありませんが、慢性的な筋緊張や関節の動きの制限が原因のことがほとんどです。放置すると頭痛・めまい・肩こりの悪化につながることもあります。

首がポキポキ鳴る原因タイプ別解説

音の種類 原因 対処法
ポキッ・パキッ(1回) 関節内の気泡(キャビテーション)が弾ける音。一般的に無害 同じ関節を繰り返し鳴らさない習慣が大切
ゴリゴリ・ギシギシ(持続的) 筋肉・腱・靭帯が関節の突起に引っかかる音。筋緊張・筋膜の癒着が原因 ◎ 鍼灸・整体で筋緊張・癒着を緩和
シャリシャリ(こすれる音) 頸椎の軟骨が薄くなっているサイン。長年の姿勢不良・加齢が関与 ○ 周囲の筋緊張を緩め、頸椎への負担を軽減
首を回すと毎回なる 特定の筋肉・腱が緊張して関節に引っかかっている状態 ◎ 緊張した筋肉へのアプローチで頻度が減少

首の後ろ・後頭部がパキパキ鳴るのは、どこが鳴っている?

首の音は「どこで鳴っているか」で意味が変わります。とくにご相談が多いのが、首の後ろから後頭部にかけてパキパキ・カクカクと鳴るケースです。

このあたりで鳴るとき、関わっているのは主に次の2つです。

  • 環椎・軸椎(首のいちばん上にある関節)……うなずく・首を回すときの支点になる関節です。ここが硬くなると、動かし始めにパキッと1回鳴りやすくなります。
  • 後頭下筋群(後頭部の付け根にある小さな筋肉の集まり)……スマホやパソコンで頭が前に出た姿勢が続くと縮んで硬くなり、腱が骨の突起に引っかかってパキパキという音になります。

デスクワークで「後頭部の付け根が重い」「そこを押すと気持ちいい」という方は、この後頭下筋群が緊張しているサインです。音そのものより、その硬さが頭痛や目の奥の重さにつながることがあるため、当院では音を気にするよりも付け根の緊張をゆるめることを優先しています。

なお、後頭部の音と一緒にめまい・手のしびれ・ろれつが回りにくいといった症状がある場合は、首の音とは別の問題が隠れていることがあります。まずは整形外科などの受診をご検討ください。

横を向くと鳴る・上を向くと鳴る──動きの方向でわかること

「横を向いたときだけ鳴る」「上を向くと鳴る」など、鳴る方向が決まっている場合は、その動きに使う筋肉の一部だけが硬くなっていることが多いです。

  • 横を向くと鳴る……首の側面の筋肉(斜角筋・胸鎖乳突筋)の緊張が関わります。片側だけで電話を持つ、いつも同じ側を向いて寝るといった習慣が影響します。
  • 上を向くと鳴る……首の後ろ側が縮んだまま固まっている状態です。前かがみ姿勢の時間が長い方に多く見られます。
  • どの方向でも毎回鳴る……首全体の動きの余裕が減っているサインです。この段階はセルフケアだけでは戻りにくく、施術で動きを取り戻すほうが早いことがあります。

鳴る方向がいつも同じなら、その反対方向へゆっくり動かす習慣をつけると、動きの偏りが整って音の頻度が減ることがあります。反対に、自分で鳴らして音を出すのは関節への刺激を繰り返すことになるため、意識的に鳴らすのは避けてください。

患者さんの施術例

症例:50代女性・デスクワークと出張が多い会社員

仕事量の多さと体の硬さは自覚していたものの、マッサージの必要性はあまり感じていなかった方。ご主人に勧められて来院されました。以前から鍼をたまに受けており、既往歴に婦人科系の症状もありました。

首を動かすたびに左右でポキポキと音が鳴り、特に朝起き上がるときと長い会議の後に音が大きくなるとのこと。痛みはないが「音が気になって首を動かすのが不安」と感じていました。

触診では、後頭部から僧帽筋・胸鎖乳突筋にかけて強い緊張が確認され、肩甲骨の動きも制限されていました。出張時の新幹線・飛行機での長時間の座位が頸部への慢性的な負担になっていると判断。

頸部・後頭部・肩甲骨周囲への鍼治療と、頸椎周囲の整体を組み合わせて施術。3回の施術後から「音が鳴る頻度が減った」「朝の首の重さが楽になった」と感じていただきました。

首の音を放置するとどうなる?

首の音自体は危険ではないケースが多いですが、音の原因となっている筋緊張・筋膜の癒着・関節の可動域制限を放置すると、以下のような症状に発展することがあります。

・慢性的な首こり・肩こりの悪化
・緊張型頭痛・後頭部の痛み
・めまい・ふらつき(椎骨動脈への影響)
・腕のしびれ(頸椎の神経への圧迫が進んだ場合)

「音は鳴るけど痛くないから大丈夫」と放置せず、早めにケアすることをおすすめします。

音そのものより、首まわりの緊張が続くことで頭痛につながる方もいらっしゃいます。→ 首こり・緊張型頭痛が続く原因と解消法

首の音に使う主なツボ

ツボ名 場所 効果
風池(ふうち) 後頭部の髪際、左右のくぼみ 首・後頭部の緊張緩和・頭痛
天柱(てんちゅう) 風池の内側、太い筋肉の外側 頸部深層筋の緊張緩和
完骨(かんこつ) 耳の後ろの出っ張りの後ろ下 胸鎖乳突筋の緊張・耳鳴り
肩井(けんせい) 首の付け根と肩先の中間 首肩こり・僧帽筋の緊張
後谿(こうけい) 手を握ったとき小指側にできる横じわの端 頸椎・後頭部の痛みに

自宅でできる首のセルフケア

①首を「鳴らす」クセをやめる
自分で首をポキッと鳴らす行為は一時的にすっきり感がありますが、関節の靭帯を緩めて不安定にし、長期的には症状を悪化させます。「鳴らしたくなったら深呼吸する」など代替行動を作りましょう。

②胸鎖乳突筋のストレッチ
顎を上げながら頭を斜め後ろに傾け、首の前側を伸ばします。左右10〜15秒ずつ。デスクワーク中に1時間ごとに行うと効果的です。

③肩甲骨を動かす習慣
肩甲骨が固まると首への負担が増えます。両肩を大きく後ろに回す・胸を張る動作を1日数回行いましょう。

同じ不調を繰り返すときは、体質の面から見直すこともあります。→ 繰り返す不調と胃腸の関係

よくあるご質問

Q. 首の音は危険ですか?
多くの場合は無害ですが、音と同時に痛み・しびれ・めまいが伴う場合は神経や血管への影響も考えられます。そのような症状があれば早めにご相談ください。

Q. 鍼灸で首の音が鳴らなくなりますか?
音の原因が筋緊張・筋膜の癒着によるものなら、施術で緊張が緩まるにつれて頻度が減ることが多いです。完全になくすよりも「首が楽に動くようになる」ことを目標にしています。

Q. 何回くらいで改善しますか?
個人差はありますが、多くの方が3〜5回で「音の頻度が減った」「首が動かしやすくなった」と実感されます。

まとめ

首のポキポキ音は、筋緊張・筋膜の癒着・関節の動きの制限が原因であることがほとんどです。「音は鳴るけど痛くないから大丈夫」と思わず、早めにケアすることで頭痛・肩こり・しびれへの発展を防げます。

恵比寿・鍼灸院ハリステーションでは、頸部の筋緊張を丁寧にほぐし、首が楽に動くようになる施術を行っています。「首の音が気になる」「首が動かしにくい」という方は、お気軽にご相談ください。

廣木 孝志

廣木 孝志

2022年11月、恵比寿で個室鍼灸院を開業/痛みの緩和、全身調整が得意/セルフケア提案とコンディショニングを大切にしています。

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