症例

冷え性に鍼灸、お灸|手足の冷え、低体温、血行不良に東洋医学【鍼灸師監修】

【症例報告】「冬だけじゃない、1年中手足が冷たい」——末端冷え性に悩む30代女性会社員

患者:Aさん(30代、女性、会社員)
主訴:手足の末端冷え、夏でもエアコンで足が冷える、なかなか寝付けない
経過:学生時代から冷え性があり、社会人になってからデスクワーク中心の生活でさらに悪化

Aさんは「手足が1年中冷たい」「夏でもオフィスのエアコンで足首から下が冷えて痛い」「布団に入ってもなかなか足が温まらない」という状態が長年続いていました。市販のカイロや厚い靴下で対処していましたが、根本的な改善につながらず当院にいらっしゃいました。

初診時に東洋医学的な体質チェックを行ったところ、「陽虚(ようきょ)+気血不足(きけつぶそく)」のタイプと判断。身体を温める力と血液循環を高めるツボへの鍼灸+お灸を組み合わせ、週1〜2回の治療を開始しました。4週目から「足先が以前より温かくなってきた」との変化を実感されました。

以下では、冷え性に鍼灸、お灸がどのように効くのかを解説します。


冷え性とは

項目 内容
定義 手足、腰、全身などが冷えやすく、日常生活に支障をきたす状態。西洋医学的な「病名」ではないが、日本人女性の約半数以上が自覚症状を持つとされる。
タイプ(東洋医学的分類) ①末端冷え性(手足の先が冷える)②下半身冷え性(腰・お尻・脚が冷える)③全身冷え性(体全体が冷えやすい)④内臓型冷え性(表面は温かいが内部が冷えている)
主な原因 血行不良、自律神経の乱れ(ストレス、不規則な生活)、筋肉量の低下、ホルモンバランスの乱れ(生理、更年期)、過度なダイエット、貧血、デスクワークによる運動不足
よくある付随症状 肩こり、頭痛、むくみ、疲労感、不眠、生理痛の悪化、肌荒れ、免疫力の低下
西洋医学的な対応 器質的な原因(甲状腺機能低下、貧血、糖尿病など)がないか確認。原因疾患がなければ生活習慣指導、漢方、ホルモン療法(更年期の場合)

東洋医学からみた冷え性の体質タイプ

① 陽虚(ようきょ)タイプ——温める力が不足

体を温めるエネルギー(陽気)が不足している状態。細身、顔色が青白く、疲れやすく、低体温になりやすい。特に腎、脾の陽気が低下していることが多く、下半身から全身の冷えとして現れます。鍼の刺激に注意。お灸が特に有効なタイプです。

② 気血不足(きけつぶそく)タイプ——巡る力が弱い

気(エネルギー)と血(血液、栄養)の両方が不足し、末端まで熱と栄養が届かない状態。過労、ダイエット、睡眠不足が続く方に多く、手足の末端冷え、顔色の悪さ、疲れやすさが特徴です。

③ 気滞血瘀(きたいけつお)タイプ——流れが滞っている

気血の流れが詰まっている状態。ストレスが多い方や運動不足の方に多く、冷えと同時にほてり(冷えのぼせ)、月経痛、肩こりを伴うことが特徴です。鍼で気の流れを解放するアプローチが有効です。


鍼灸、お灸は冷え性にどう効くのか

① 末梢血管を拡張し血流を促進

鍼灸刺激は交感神経の過緊張を緩め、収縮していた末梢血管を広げます。手足の先まで血液が流れやすくなり、施術後に「手足がポカポカしてきた」と感じる方が多いのはこのためです。

② お灸の温熱効果で温める

お灸はもぐさの燃焼熱によってツボを温め、深部組織まで熱が届きます。市販のカイロと異なり「ツボへのピンポイント刺激+温熱」の相乗効果が得られます。当院では症状とタイプに合わせてせんねん灸、棒灸、糸状灸などを使い分けます。

③ 自律神経バランスを整える

冷え性の多くは交感神経が優位になりすぎた状態(緊張、ストレス、不規則な生活)と関係しています。鍼灸は副交感神経を活性化し、血管の緊張を緩めることで、継続的な血行改善につながります。


当院の冷え性への治療アプローチ

初期(体質を整える期間):週1〜2回×半年~1年間

まず体質タイプを確認し、陽気を補うツボ、血流を促すツボを組み合わせて施術します。特に下半身、腰、腹部へのお灸を取り入れ、芯から温まる体を作ります。

使用するツボの例:関元(かんげん)、気海(きかい)、三陰交(さんいんこう)、足三里(あしさんり)、命門(めいもん)、腎兪(じんゆ)

維持期(季節の変わり目、冷えが強い時期)

改善後は月1〜2回のメンテナンス通院が効果を継続させます。特に秋〜冬の冷えが強くなる時期の前から通い始めると、シーズンを快適に過ごしやすくなります。

セルフケアのご提案

通院と合わせてご自宅でのセルフケアもお伝えします。市販のせんねん灸を使ったツボ温灸、入浴法、軽体操など、日常生活に取り入れやすい方法をご提案しています。


よくあるご質問

Q. 冷え性は体質だから仕方ないのでは?

A. 冷え性は体質の傾向はありますが、適切なアプローチで改善できます。「生まれつきだから諦めていた」という方が、鍼灸で体温が上がり冷えが楽になる例は多くあります。

ヘルニアなど神経症状により、末端が冷える場合もあります。

Q. 男性の冷え性も診てもらえますか?

A. もちろんです。冷え性は女性に多いですが、男性にも少なくありません。筋肉量の低下、デスクワーク、ストレスが原因の男性の冷えにも対応しています。

Q. エアコン冷えも関係がありますか?

A. オフィスのエアコンによる冷えは現代人の冷え性の大きな原因のひとつです。特に夏場は首スジや足元が冷えて辛い方は、ご相談ください。

Q. 生理痛、更年期の冷えにも対応できますか?

A. 対応しています。ホルモンバランスと血行不良が絡む女性特有の冷えは、東洋医学が得意とする分野のひとつです。生理前後の冷え、更年期のホットフラッシュと冷えの同時ケアも行っています。

Q. 何回くらいで変化を感じますか?

A. 早い方は1〜2回の施術で「いつもより手足が温かい」と感じていただけます。体質的な改善には半年~1年を目安にしています。


まとめ:冷え性と鍼灸、お灸

  • 東洋医学では冷え性を「陽虚、気血不足、気滞血瘀」などの体質タイプに分類し、個人に合わせた治療を行います。
  • 鍼灸は末梢血管の拡張、自律神経調整で継続的な血行改善を促します。
  • お灸の温熱刺激はツボへの深部温熱効果があり、冷え性に特に有効です。
  • 秋冬前からケアを始めると季節の冷えを軽やかに乗り越えやすくなります。

「1年中手足が冷たい」「夏でもエアコンで辛い」「温めても追いつかない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

恵比寿鍼灸院ハリステーションでは、冷え性の鍼灸、お灸治療相談を随時承っています。

廣木 孝志

廣木 孝志

2022年11月、恵比寿で個室鍼灸院を開業/痛みの緩和、全身調整が得意/セルフケア提案とコンディショニングを大切にしています。

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