たくさん歩いた次の日、膝がぽってりふくらんでいる。痛くはないけれど、曲げると重たくて、気づくと膝をかばって歩いている。
「膝に水が溜まる」は、整形外科でもよく聞く言葉です。この記事では、歩きすぎたあとに膝に水が溜まりやすい人の体の使い方と、当院がどこを見て、どう施術を組み立てるかをまとめました。
先にお伝えしておきたいこと:膝が熱を持って赤い、急に大きく腫れた、手術を受けた膝が腫れてきた、というときは、鍼灸より先に整形外科(手術を受けた方は執刀した病院)で確認してください。詳しくは記事の後半「こんなときは整形外科へ」にまとめています。
膝に水が溜まるのは、どんな状態?
痛くないのに、膝がふくらむ・重い
膝の関節の中には、もともと動きをなめらかにするための液があります。膝に負担がかかって中で炎症が起きると、この液が増えて、膝がふくらんだように見えます。これが「膝に水が溜まる」状態です。
痛みがそれほどなくても、曲げ伸ばしが重い、正座がしにくい、膝のお皿のまわりがぼんやり張っている、と感じる方が多いです。
熱を持っているときは、炎症が続いているサイン
膝をさわって、反対側より温かいときは、炎症がまだ続いていると当院では考えます。この時期は、温めるよりも、タオルで包んだ保冷剤などで冷やしてください。直接氷を当て続けるのは避けましょう。
たくさん歩いた日のあとに溜まるとき、当院が確かめること
旅行や出張、イベントの立ち仕事など、ふだんよりたくさん歩いた・立っていた日のあとに膝が腫れたときは、膝そのものだけでなく、膝を支える側を必ず確かめます。
足の裏のアーチが落ちている
立った姿勢で、土踏まずのアーチが落ちていないかを見ます。足の裏で着地を受けとめられているかどうかは、膝の負担を考えるうえでの手がかりになると考えています。
お尻の筋肉がうまく使えていない
歩くときに脚を後ろへ送り出すのは、本来お尻の筋肉の仕事です。ここが使えていないと、太ももの前側と膝が代わりにがんばる歩き方になりがちです。
太ももの内側(内転筋)が硬い
膝の施術の前に、太ももの内側(内転筋)の硬さを確かめます。膝のまわりは上下の筋肉に引っぱられているので、膝だけでなく周りの硬さも一緒にゆるめていきます。
※これは臨床での当院の見立てであり、これらが膝に水が溜まる原因であると特定したものではありません。
膝をかばう歩き方は、首や腰にも響く
膝に水が溜まって痛くはなくても、人は無意識に膝をかばって歩きます。片側に体重を逃がす歩き方が続くと、腰やお尻、さらに首や肩まで張ってくる方がいます。
当院では、膝の相談でも首・肩・腰の状態を一緒に確かめます。膝をかばう生活から首を寝違えた例は、こちらの記事にまとめています。
▶ 寝違えて首が回らない|膝をかばう生活と、片側だけ向けない首に鍼灸
当院の施術:膝だけを見ない
うつ伏せ:首・肩と、腰・お尻から
まずうつ伏せで、膝をかばって張った首・肩、腰からお尻をゆるめます。腰からお尻には、鍼に弱い電気を流すパルスを使うことがあります。
膝の裏とかかとにお灸
うつ伏せのまま、膝の裏とかかとにお灸をします。
仰向け:膝まわりのツボに鍼とお灸
仰向けで、膝のお皿のまわりのツボに鍼を置き、ごく小さなお灸を使います。膝の状態(熱や腫れ)をさわって確かめてから、刺激の量を決めます。
テーピングで、歩くときの膝を支える
最後に、伸び縮みするテーピング(キネシオテープ)を貼ることがあります。サポーターより蒸れにくく、次の日の歩きを助けるためです。
膝まわりで使う4つのツボ

鶴頂(かくちょう)
膝のお皿の上の縁の、すぐ上の真ん中です。
犢鼻(とくび)
膝のお皿のすぐ下、太い靱帯(膝蓋靱帯)の真ん中です。当院ではここを犢鼻としてとっています。※教科書によっては、靱帯の外側のくぼみを犢鼻とするものもあります。
内膝眼(うちしつがん)・外膝眼(そとしつがん)
犢鼻の左右、靱帯の内側と外側のくぼみです。膝を曲げると見つけやすくなります。すねの外側にある骨の出っぱり(腓骨頭)がある側が外側です。
自分でできること:足の親指まで使って歩く
親指で地面を押して、つま先まで抜ける
当院では、施術のあとに歩き方をお伝えしています。かかとから着いたら、足の裏を通って、最後は足の親指で地面を押し、つま先まで抜けるように歩きます。親指が使えると、足の裏のアーチとお尻の筋肉が働きやすくなると考えています。
熱があるうちは冷やして、歩く量を一度減らす
膝が熱を持っているあいだは、冷やして休ませるのが先です。たくさん歩く予定がある日は、テーピングを使う、こまめに座って休むなど、膝の負担を分けてください。
繰り返さないために:体の「水のめぐり」と胃腸
東洋医学では、体の中の水分のめぐりを「脾(ひ)」、つまり胃腸の働きが受け持つと考えます。膝に水が溜まりやすい方は、歩き方とあわせて、冷たい飲み物が多くないか、胃腸が疲れていないかも一緒に見ていきます。
当院が「入口は膝、出口は胃腸と体質」と考えている理由は、こちらの記事にまとめています。
鍼が苦手な方へ
膝まわりに鍼をするのが不安な方は、お灸と手技を中心に組み立てることもできます。膝まわりでは、糸のように細くよったもぐさを使うお灸(糸状灸)も使います。最初にご希望を伺ってから、刺激の量を決めます。
こんなときは整形外科へ
次のようなときは、鍼灸より先に整形外科で確認してください。
- 膝が赤く、熱を持っていて、腫れがどんどん大きくなる
- 熱が出ている、体がだるい
- 手術を受けた膝が腫れてきた・熱を持ってきた(執刀した病院へ)
- 転んだ・ひねったなど、けがのあとに急に腫れた
- 膝が伸びきらない、曲がらない、途中で引っかかって動かなくなる
- 体重をかけられない、歩けない
※これは受診の目安であり、診断ではありません。
よくあるご質問
Q. 膝に水が溜まっていても、鍼やお灸を受けられますか?
A. まず整形外科で、炎症の原因を確かめておくと安心です。当院では、膝の熱や腫れをさわって確かめてから、膝まわりの刺激の量を決めます。
Q. 膝の手術を受けたことがあります。大丈夫ですか?
A. 手術後の経過は、主治医の判断がいちばん優先です。手術歴は最初にお聞きし、それに合わせて施術の内容を決めます。不安なことは、事前に遠慮なくお伝えください。
Q. どのくらいの間隔で通えばいいですか?
A. 生活に支障が出ているときは早めに来ていただき、落ち着くまでは3日に1度、その後は週1回、隔週、月1回と、少しずつ間隔を空けていくのが目安です。
まとめ
たくさん歩いたあとに膝に水が溜まるときは、膝そのものだけでなく、足の裏のアーチ、お尻の筋肉、太ももの内側といった「膝を支える側」に目を向けることが大切だと当院では考えています。熱があるうちは冷やして休ませ、落ち着いてきたら、足の親指まで使う歩き方に少しずつ切りかえてみてください。
膝をかばう歩き方が続いている方、歩く予定が控えていて不安な方は、ご相談ください。




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