朝、目が覚めて、いつものように寝返りを打った瞬間。首が左に向かない。振り向こうとすると、左側にビリッと痛みが走る。
寝違えは、誰にでも起こります。ただ、「なぜ今朝だったのか」を考えていくと、首以外の場所に理由が見つかることがあります。
当院で多いのが、脚や膝をかばう生活が続いている方です。この記事では、寝違えを首だけの問題として見ない考え方と、当院での組み立て方をご紹介します。
寝違えは「首だけの事故」ではないことがあります
寝違えというと、枕が合わなかった、変な姿勢で寝てしまった、と考える方がほとんどです。もちろんそれもあります。ただ、同じ枕で何年も寝ている方が、ある朝だけ動かなくなるのはなぜでしょうか。
前の日にたまっていたものが、朝に出る
首の筋肉は、寝ているあいだに縮んだり伸びたりを繰り返して、姿勢を調整しています。前の日に負担がかかっていると、この調整が追いつかず、一か所に力が残ったまま朝を迎えることになります。
疲れているときほど深く眠り、寝返りの回数が減ります。長時間、同じ角度で首が固定される。そこへ朝の冷えが加わると、動き出しの一歩目で筋肉が驚いたように縮みます。
「どちらを向けないか」に手がかりがあります
寝違えのとき、左右どちらにも同じように向けない方は多くありません。たいてい、片側だけが向けない、あるいは片側だけが痛みます。
この左右差は、前の日までの体の使い方が残っている場所を教えてくれます。当院では、様々な原因が隠れていると考えて、全身をしっかりと確認します。
膝をかばう生活は、首に出ることがあります
膝を痛めている方、手術やリハビリのあとで膝に不安が残っている方は、無意識に体重のかけ方を変えています。
かばう側と、支える側
痛むほうの膝に体重を乗せたくないので、反対側の脚に長く乗る。骨盤の高さが左右で変わり、背骨がわずかに傾きます。その傾きを、最後に打ち消しているのが首です。
頭は体重の約1割といわれる重さがあります。体が傾いたぶん、視線をまっすぐ保とうとして、首の片側が働き続けることになります。
「その日だけ立ち仕事」が重なるとき
ふだんは座り仕事で、週に1日だけ立ちっぱなしの日がある。こうした方は、負担が1日に集中します。
座っているあいだは膝をかばっていることに気づきにくく、立つ時間が長い日にだけ、かばい方がはっきり出ます。その夜に首の片側がこわばり、翌朝、動かなくなる——という流れが起こりえます。
当院が、首より先に確かめること
寝違えで来院された方には、直近の出来事や寝不足などの質問を行い、疲労の蓄積具合を確認していきます。いきなり首でなく。外側から首を目指します。
脚や膝に、熱や腫れがないか
仰向けになっていただき、膝まわりを手で確かめます。熱を持っていないか、腫れていないか、左右で温度が違わないか。
膝に熱感や腫れがあるときは、そこが今も体にとって負担になっているということです。首の緊張が続く理由が、そちらに残っていることがあります。
どこまで向けるか、どの角度で痛むか
向けない方向と、痛みが出る角度を確認します。動かして確かめるのは最小限にします。確かめる動作そのものが刺激になり、余計に縮むことがあるためです。
首から離れたところから、順にゆるめていきます
当院の組み立ては、痛いところを最後に回す形が多くなります。
仰向けで、負担の元にあたる場所から
膝まわりにお灸をして、脚の緊張をゆるめます。あわせて首まわりは、指圧で様子を見ながら、鍼を使わずにゆるめていくことがあります。
うつ伏せで、首の後ろと背中
後頭部の生え際にある天柱(てんちゅう)、その外側の風池(ふうち)、首の付け根の大椎(だいつい)。ここに肩の前側を加えて、低周波を流すことがあります。
同時に、腰まわり・太ももの裏・ふくらはぎにも鍼をします。かばう生活で縮んでいるのは、膝そのものより、その上下にある筋肉だからです。仕上げに、背骨の中心のラインに沿ってお灸をします。
横向きで、胸の前側
痛むほうの肩を上にして横向きになっていただき、首から肩の上にお灸。そのあと、鎖骨の下にある中府(ちゅうふ)・雲門(うんもん)に鍼をします。
首が回らないとき、後ろ側だけを見ていても届かないことがあります。胸の前がつっぱったままだと、振り向く動きは戻りにくいためです。
膝の不安が残っている方へ
手術やリハビリを終えたあと、「もう治ったはずなのに」という違和感が残る方がいます。水がたまる、熱を持つ、長く歩くと重くなる、といった形です。
この時期は、膝そのものより、かばい方が体に残っているかどうかを見ていきます。膝をかばう姿勢が癖になっていると、首や腰など、離れた場所に負担が移っていきます。
リハビリが終わると、体を見てもらう場所がなくなります。そのあとをどうするか迷っている方は、ご相談ください。ご自宅でのお灸の使い方をお伝えすることもあります。
こんなときは、整形外科へ
次のような場合は、鍼灸より先に受診をおすすめします。
- 腕や手にしびれがある、力が入りにくい
- 頭痛や吐き気をともなう、発熱がある
- 膝が急に腫れて熱を持った、曲げ伸ばしができない
- 転んだ、ぶつけたなど、はっきりしたきっかけがある
- 何日たっても、まったく向きが変わらない
膝の手術を受けた方は、経過を診ている医療機関がある場合、まずそちらに相談してください。
鍼が苦手な方へ
当院では、鍼を使わずにお灸と手技だけで組み立てることもできます。刺す場合も、1ミリに満たない深さで置く方法があります。
寝違えの直後は、体が緊張しています。刺激を強くするほど早く戻るわけではありません。その日の状態に合わせて量を決めますので、苦手なことは最初にお伝えください。
繰り返さないために
寝違えを何度も繰り返す方は、首の使い方だけでなく、疲れが抜けにくい体の状態が続いていることがあります。
食べたものを処理する力が落ちていると、休んでも回復が追いつきません。当院が体質の面から見るときの考え方は、胃腸と体質の記事にまとめています。
よくあるご質問
寝違えた当日に、行ってもいいですか
はい。むしろ早いほうが、体が身構える前に対応できます。当日は動かす検査を最小限にして、負担の少ない範囲で組み立てます。
何回くらい通いますか
生活に支障が出ているあいだは、続けて来ていただくことがあります。落ち着いてきたら3日に1度、週1回、隔週、月1回と間隔を空けていきます。寝違えだけなら数回でひと区切りになる方が多いです。
首と膝を、同じ日に診てもらえますか
できます。むしろ、つながっている場所を同じ日に診たほうが組み立てやすくなります。時間が足りないときは、延長をご相談いただくこともできます。
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恵比寿の鍼灸院ハリステーションでは、首だけでなく、その負担がどこから来ているかを一緒に探していきます。ご予約はこちらから。




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